不動産の贈与をしたけれど自分で贈与税の申告書を作れますか?というご質問をいただくと、申告書よりも評価明細、財産評価のほうが難しいですね、とお伝えしています。
不動産の贈与の流れについて基本的な部分を確認してみましょう。
不動産の贈与の流れ
贈与自体の流れは現預金と変わりません。
贈与者(財産を渡す人)と受贈者(財産を受け取る人)の相互の意思があって贈与が成立します。
口頭でも成立しますが現預金よりも不動産のほうが自分のものであることの証明をしておくことが大事です。
特に不動産はその名義人を明らかにしておくことが大切で、不動産にはいろんな権利関係がありますので登記をしておく必要がありそのためにも贈与契約書を備えておきます。
現預金であればお金を動かして管理していてというのが銀行口座を通じて行われていると第三者が見たときにもわかりやすいです。
不動産の贈与がある場合にも名義人の変更登記をして誰の所有物になっているかを明らかにしておきましょう。
贈与契約書を作成して贈与者、受贈者で署名捺印をし、印紙を貼付して消印します。
贈与契約書は双方で保管をしておきたい書類ですので2通準備をしてそれぞれ記載が完了したら贈与者と受贈者で1通ずつ保管しておくのが望ましいです。
金銭による贈与の場合には贈与税を計算するときにはその贈与した金銭の額が相続税評価額=贈与税を計算するときの基となる価額ですが、不動産の贈与の場合には相続税評価額を計算することが必要です。
評価明細書、申告書の作成
不動産の相続税評価により贈与税の計算をするもととなる贈与税計算上の不動産の価額を計算します。
この計算をするために評価明細書というものを準備して価額計算をする流れです。
不動産の場合には自分で使っているもの、他人や会社に貸しているものについてはその貸していることを考慮した相続税評価額の計算をします。
また土地については形状や道路に面している状況に応じて利用価値が変わることを加味して評価額の算定の計算式があり、路線価の場合、倍率の場合など計算の方法が多岐にわたるため複雑です。
そのため税理士に相談をするか税務署において事前予約の上相談するかのいずれかをしたほうがよいです。
土地の評価明細は確定申告書等作成コーナーからも作成することができますが、複雑な形状の土地などについては評価できませんので注意しましょう。
(国税庁HP 確定申告書等作成コーナー 土地評価明細書の作成より抜粋)
形が真四角に近い土地は確定申告書等作成コーナーの土地評価明細書作成コーナーで作成できますよと書いてあります。
(形が真四角ではない土地を不整形地と財産評価においては表現します)
評価額が算定できればあとは基本的には贈与税の申告書はご自身で作成できる内容だと考えています。
通常であれば税理士に財産評価を依頼するのであれば申告までセットにしたほうが手間は減ります。時間と手間と費用とのバランスを見て考えてみましょう。
不動産の贈与は費用が掛かる
不動産の贈与を検討する場合には贈与税だけではなく費用が現預金の場合よりも掛かることも検討材料になります。
登記を司法書士さんに依頼した場合には登記に関する司法書士報酬、登録免許税がかかります。
財産評価や申告書作成を税理士に依頼する場合には税理士報酬がかかります。
さらには、不動産を取得したことについて不動産取得税がかかります。相続による不動産の取得の場合には不可抗力という面が強いので不動産取得税がかかりません。
不動産取得税についてはあとから通知がされるケースが多く、検討する際に失念しているケースがありますので検討しておきましょう。
贈与をする際には相続税との比較がキーポイントになります。
トータルで相続税をある程度把握していないと贈与をしたら結果的に損してしまったということが起こりうるからです。
どんどん贈与することも可能でありますが資金需要があったときに手元の財産が少ないと心もとなくなってしまいます。
このあたりはご自身の財産もそうですがお金に対する考え方、財産をどのように引き継いでもらいたいかなどにも大きくかかわりますので一度専門家に相談をすることが望ましいです。
まとめ
不動産の贈与をした場合の申告等の流れについて確認をしました。
現預金の贈与よりも手間も費用も掛かりますので特段に不動産しか贈与財産がない場合を除いては相続税対策としての選択肢は順位がさがります。
不動産の贈与をする前に必ず専門家に相談することをおすすめします。