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過去の贈与の確認方法

過去の贈与

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

相続税申告を作成する場合には亡くなった方のご生前に、その亡くなった方から贈与があったかどうかは確認しておきたい事項のひとつです。

過去に贈与があったかどうかの確認方法を整理しておきます。

 

目次

亡くなった方の通帳とヒアリング

亡くなったからから直接お話を聞くことはできませんので残っている資料でまずは確認をしていきます。

 

通帳の確認ですが入出金を見ていき、場合によってはExcelに記録をしておカネの移動を追いかけていくこととなります。

 

預金の移動履歴と呼んだりしますが、普通預金から定期預金に移動していたり、また反対に定期預金が満期になって普通預金になっていたり。

 

複数の口座を複数の金融機関でもっている場合にはその口座間での移動がないかもチェックポイントのひとつです。

 

さらに年金や給与の振り込みがある口座、生活費の引き落としがある口座などを確認していきます。

 

いわゆる生活費用の口座や貯蓄用の口座という区分けをしていくイメージです。

お元気な時の生活を想像しながら、また現預金の管理がどなただったかを伺いつつ、どういうお金の流れがあったのかを整理していきます。

 

その中から毎年決まった時期に100万円、110万円(贈与税の基礎控除金額)、200万円とまとまった資金移動があれば、確認事項(贈与かそうでないか)としてピックアップしあとで確認をします。

 

預金の移動履歴を確認する同時に相続人や同居していたかた、お孫さんへの贈与などがなかったかのヒアリングもあわせて行います。

 

贈与行為そのものが良い悪いではもちろんなく、贈与があったか、今回の相続で生前贈与加算の対象になるかもあわせてご説明しつつ、情報を整理していきます。

 

預金の移動履歴はご本人の通帳をベースに少なくとも5年、可能であれば10年分は見ておきたいところです。

 

贈与契約書、贈与税申告書の控え

贈与そのものは口頭で成立します。

財産を渡す人の「あげます」と、財産を貰う人の「もらいます」で成立をし、財産の移転があれば完了します。

 

いわば口約束でも良いということになりますのであとで「贈与があったかどうか」を確認するすべが財産の移転の痕跡しかなくなります。

 

亡くなった方からの贈与なのか貸付なのか、受け取った人の話でしか判断できないと良いようにも悪いようにもとられる可能性がありますので、なるべく証拠を残しておきましょうとお伝えしています。

 

一番良いのは贈与契約書を作成し、署名押印をして確定日付を取っておくこと。

 

これによりその確定日付の時点で贈与を行ったことを書面でもって確認をすることができます。

 

贈与税の申告書の控えももしあるなら確認方法のひとつです。

贈与が成立しているかと贈与税の申告があるかは別の問題ではあるのですが、贈与があったことをうかがわせる書類にはなるでしょう。

 

贈与契約書もですが意外と贈与税の申告書の控えを手元に置いておく人が少ない印象です。

税務申告書類はあとで閲覧をするということが難しくなってしまいますので、申告書提出の際に控えも準備して手許に保管しておきましょう。

 

紙のままでもよいですがスキャンなどをして保管できるのであればそれでもよいです。

 

閲覧申請、開示請求

申告書は提出したけどその中身を忘れた、控えがない、という場合には閲覧申請、開示請求を行うことができます。

 

税務署に残っているものを見せてください、ということです。

閲覧申請はご自身で提出された贈与税の申告書の場合はご自身の納税地の所轄税務署宛に必要書類を添えて閲覧申請をします。

 

この際に税理士に代理をお願いすることもあるかと思いますが、閲覧申請行為そのものは税務代理ではないとされていますので仮に税務代理権限証書という書類を提出していても別で委任状が必要です。

 

亡くなった方の生前に出された申告書を確認したい場合は、その亡くなった方の納税地の所轄税務署に閲覧申請をします。

 

閲覧申請は事前に問い合わせをしておくとスムーズです。というのも、申告書を見つけてそれを出してくるというのはやはり税務署側でも事務手続きに時間を要することがあるからです。

 

その納税地の税務署で申告書類が保管されている期間であれば早いこともありますが、そうではない場合(国税局問い合わせなど)がある場合には相当に時間を要します。

 

むかしの申告書であれば尚更時間がかかりますのでその点は事前に税務署にいついつからの申告書で該当のものを閲覧したい旨を事前に申し出ておくのがよいです。

 

開示請求は「相続税法第 49 条 第 1項の規定に基づく開示請求書」という書類を提出します。

 

この開示請求は相続税申告にあたって必要な事項を確認するための手続きとなっており、閲覧申請とは少し内容が変わります。

 

相続税法第49条第1項の規程に基づく開示請求は、

「相続税の申告や更正の請求をしようとする者が、他の相続人等が被相続人から受けた①相続開始前3年以内の贈与又は②相続時精算課税制度適用分の贈与に係る贈与税の課税価格の合計額について開示を請求する場合の手続きです。(国税庁HPより抜粋)

とされており、申告書を閲覧するわけではありません。

 

引用文の通り、相続税の申告等のために贈与税の課税価格の合計を教えてもらう、という手続きですので注意しましょう。

 

開示請求の提出先は、亡くなった方のその亡くなった時点の住所地を管轄する税務署で、亡くなった年の3月16日以降に提出することができます。

 

閲覧申請と開示請求に共通する注意点としては贈与税の申告書が提出されていないケースは税務署でも把握できないということです。

 

過去の申告書を見せてください=閲覧申請、贈与税の課税価格を教えてください=開示請求、となっていますので、いわゆる通常の贈与税の基礎控除金額(110万円以下)の贈与については申告書を提出していないでしょうから申請や請求をしても見つけられません。

 

まとめ

過去に贈与があったかどうかを確認する方法を整理してみました。

相続税の申告上はとても重要な情報となりますので、亡くなる前に贈与をしている場合には後で見返してわかるように書類を整えておきましょう。

また贈与を行う際にも丁寧にやっておくのがおすすめです。

 

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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