こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
個人事業主から法人化する場合や、新しく法人を設立して事業を始める場合などにご相談をいただくのが決算月をいつにするのがいいか、ということです。
何月でもいいのはいいのですが、いつにしたらよいかの材料を考えてみましょう。
法人決算は年に一回?基本事項の確認
法人の事業年度は1年間が基本的なスケジュールです。基本的とは言いましたが半年に一回決算をしても問題はありません。
ただ多くの法人が年に一回の決算で事業年度は一年です。
事業年度は定款という法人のルールブックで定め、それを元に法人設立登記を行います。
定款を作り始めて完成してから法人設立登記まで時間を要すると初年度の事業年度は一年ではなくなることがあります。
例えばいま定款を作り始めたとして事業年度末を7月末とします。定款を作って法人設立登記が9月に入ってからだとしましょう。
その場合は法人設立が9月2日だとしたら7月31日までが第一期の事業年度ということになります。
第二期は8月1日から7月31日までの1年間、というスケジュールです。
個人事業主の場合は事業年度は暦年と決まっていますので、1月1日から12月31日までの1年間を事業年度とします。
ちなみにですが事業年度末は月末ではなくてもよいです。会社会計の締め日の関係で20日に設定している会社もありますが古い会社が多いです。その場合は7月21日から翌年の7月20日までを一事業年度とします。
法人税の申告書は基本的に事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内です。
8月決算法人の場合には8月31日が事業年度終了の日の翌日9月1日から2ヵ月以内なので、10月31日までに申告及び納税を済ませる必要があります。
上場企業などでは申告期限の延長申請をして1ヵ月延ばしている場合もあります。ここまでが事業年度と決算と申告期限についての基本的な情報です。
何月がいいかの判断材料
では実際に何月を決算月にすればよいか、というのは考えどころではあります。
個人事業主から法人成りをした場合にはキリの良いところで12月決算法人として個人事業主と同じスケジュールに合わせるケースもあります。
この場合は2月の末日が申告期限となります。
ほかには決算書上において見栄えが良いタイミングが事業によってはありますのでそのタイミングにする、という考え方もあります。
例えば8月が売上が毎年好調なので8月を決算月にするという考え方です。こういう考え方もあるでしょう。
一方で売上が好調=繁忙期にあたる可能性もあり、決算事務に時間をかけづらい、みたいなケースもありますので繁忙期からずらしたい、というご要望もあります。
もうひとつあるのが納税のタイミングで一番資金的な余裕があるタイミングを選ぶ、というものです。
売掛金の回収が一番進むタイミングで納税ができるとキャッシュ的な余裕が生まれる、という考え方に基づきます。
このように決算月を選ぶための判断材料はいくつかありますし、現在においては消費税のインボイス制度を見越して法人設立をする動きがあり、9月決算法人が増えるのではないかとも言われています。
法人設立の前に相談できるのであれば一度お願いしようと考えている税理士がいれば相談してみましょう。
税理士としての立場でお伝えすると10月決算から1月決算はあまり好まれないことがあります。
というのも2か月後の申告時期が年末から確定申告時期と重なり税理士側の繁忙期になるからです。
ただこれは税理士側の事情でしかありませんのでその点は参考程度でよいと思います。もし強いこだわりがなければ官公庁等と同じく3月決算法人でもよいでしょうし税理士と相談して違う月にするのも自由です。
状況が変われば後で変更できる
事業年度の期間や事業年度末、つまり決算月はあとで変えることができます。
事業を継続していくにつれて状況も変わってくるでしょう。この月がベストというものも変わってくるかもしれません。
もし事業をやっていくうちに事業年度末、決算月を変えることはできます。
その際には定款の変更とそれに伴い決算が一回前倒しになることを念頭に置いておきましょう。
7月決算法人が12月決算法人に変更する場合で考えてみましょう。
12月末日を事業年度末に変更する定款変更の手続きをして法人登記をし、税務的な手続きとして変更届を税務署等に届け出ます。
そのうえで7月末時点で一度決算をして、その次は1年後ではなくて12月末日でもう一回決算をします。
その際の事業年度は8月から12月の5ヶ月です。12月決算法人ですから2月末の申告期限が原則です。そのあとは1月1日から12月31日までの事業年度一年間に戻ります。
まとめ
決算月を何月にするかという点について解説しました。
色んな判断材料がありますがもし気に入らない、事情が変わったなどがあれば決算月変更もできるということをアタマの片隅に置いておきましょう。