こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
「決算セール」というワードをチラシや広告で見かけることがありますが、そもそも決算セールをするというのはどういうことでしょうか。
決算セールの目的や、やるかやらないかのラインなどを考えてみます。
決算セールの目的
「決算セール」だとイメージしづらいかもしれませんが、「決算前在庫一掃セール」だとどうでしょうか?シンプルに分かりやすいですよね、決算前に在庫一掃したいんだなと。
結局はそこに行きつくわけで「在庫の整理」と「在庫を陳腐化させない」ということが主な目的になってきます。
生鮮食品でスーパーの値引きシールが閉店前にお惣菜に貼られるのも同じ目的です。
生鮮食品の場合には売れなければ廃棄処理をすることになりますが、この廃棄処理にかかるコストはバカになりません。
売値が150円、原価100円のものが売れなくて廃棄するとします。売上もたちませんので100円の損失プラスアルファで廃棄コストが10円だとすると110円のロスです。
これが仮に半額ででも売れたとするとどうでしょうか。半値の75円の売上で原価100円ですので25円の損失です。
110円と25円のロスならどちらがいいか。単純な計算ですが在庫を処分費用を考えると0円で引き取ってもらっても処分費用の分は浮きますのでそのほうがいいわけです。
すべての決算セールや閉店間際の値引きシールがこの論理で行われているという訳ではありませんが、在庫は資金がすり替わったものですのでモノが動くに越したことはありません。
在庫の整理と陳腐化させないというのは決算のときにはより意識しておきたい部分で、そのための決算セールという位置づけもあります。(普段からの顧客に還元するという意味合いもあるでしょう)
やるかやらないかのライン
決算セールをやるかやらないかのラインを判断するのは難しいところですが経営者の仕事のひとつです。
在庫そのものが期をまたいでも捌ける性質のものなのか、廃棄のコストはどうか、こういったことを判断材料とします。
またいくらでなら売ってもいいのか、原価だけは守りたいのか、原価よりも値段を下げて売れるモノなのかそれとも売れないモノなのか。
普段から在庫についてまた市場についてよく見ておくことで決算セールをするか否かの判断の下地になるでしょう。
原価を把握すること、廃棄コストを把握すること、商品が陳腐化していないかどうか市場を見てみること、このような視点でもって判断してみましょう。
決算セールをする際には法人の場合には事業年度末前に行う必要があります。
例えば7月決算の場合には申告は9月末期限(延長申請している場合には10月末期限)で、決算対策を税理士から打診されるのはだいたい6月頃からというイメージです。
この決算月よりも前のタイミングで判断しないと8月になってから「決算だから」ということでセールをすると次の期に入っているので今期という店で意味を成しません。
個人事業主の場合にはもし決算セールをするなら年内のうちにしておく必要があります。
在庫確認の重要性
決算セールをする、しないに関わらず在庫というのは会社の資産であり資金がカタチになったものでもあります。
事業の内容にもよりますが在庫が多い少ないであれば少ないほうがよく、ある程度の量でしっかり循環していくというのが大事です。
現預金だと思うとそれもやりやすくなるのではないでしょうか。
年に一回の在庫確認、棚卸しではなく試算表を毎月作っているのであれば簡易でもいいので在庫棚卸しをしてみましょう。
滞留しているものがあれば値段を下げてでも売り切るのか、それとも廃棄するのか。
いつか売れると思っていても売れなければモノがそこにとどまり、保管するだけでもコストがかかります。
その分よく動くものを動かすためのスペースにしておいたほうが資源を効率よく活用するという点でもよいことです。
廃棄するのも保管するのもコストがかかるのでモノを動かすためにはどうすればいいか、その視点を持ちながら在庫確認をしていきましょう。
まとめ
在庫管理は後回しにされがちですがおカネが変わっているものが在庫だ、と思えると少し違って見えてきます。
廃棄コストも保管コストも取り扱うモノによっては普段意識することがあまりないかもしれませんが、確実にかかるものでもあります。
在庫管理を通してモノを動かすにはどうするかという点で決算セールを見てみるとまた違った視点で見えてくるものがあると考えています。