こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
相続対策のタイミングをご相談されることがありますがいつもお伝えするのが「お元気なうちに」ということ。
お元気なうちに相続対策を勧める理由をお伝えします。
人生100年時代は近づいている
相続に関する仕事をしていますと亡くなった方のご年齢を拝見しますが、高齢化しているように感じます。
亡くなったかった方が100歳前後、相続人であるお子さんが70歳代というのは珍しくなくなりました。
健康で長く人生を楽しめるのがもちろん良いですが人生が長くなると気になるのは認知症のリスクです。
もちろん病気によって比較的若いうちから認知症を患う方もいらっしゃるかもしれませんが、人生が長くなればなるほど認知症のリスクももちろん段階的に上がっていくのは自然なことです。
わたしだけに限らずみなが長生きすればそれだけ認知症になるリスクは誰しも高くなっていくでしょう。
もし相続対策をしたいなと考えている方が認知症を患ってしまったとき、いろんなことに実は制限がかかる可能性があります。
例えば遺言だと認知症があるから書けないという訳ではもちろんないのでしょうが、症状が重いとやはり本人に意思が遺言に反映されているか、親族間で判断が分かれて揉めてしまうみたいなことが見聞きします。
端的に言うと「おじいさん、おばあさんが書いたこの遺言は既に認知症のときだったはずだから無効だ」と主張できてしまうということです。
こういったことがあると仮にご本人の意思が遺言に表れていたとしてもそれが実行されない可能性があります。悲しいことですが現実問題として親族間での揉め事のひとつになっています。
ほかにも贈与をしていたけれど実は認知症の症状が進んでしまっている状態で贈与が成立していない、とかいうことが起こりえます。
金融機関においてもご自分の財産であるにもかかわらず認知症だから、という理由で自分の財産が引き出せない、そんなことがおきています。
認知症が進んでしまった状況になると相続対策としてできることに制限がでてきます。
そのため、お元気なうちに速めに着手して緩やかに進めていくことをおすすめしています。
速めに着手して緩やかに進めていくメリット
前段で触れた遺言を例にして考えてみましょう。
遺言を作成すると財産を使えないとか、気持ちが変わったときに遺言を書きかえれない、と思っている方がいますがそんなことはありません。
遺言を作った時点での財産について「誰にどのように」を決めているだけでご自身の財産ですから使っても何ら問題ありません。亡くなった時点で遺っている財産について行き先が遺言によってきまります。
人間ですから気持ちが変わることもあるでしょうし、ご家族の状況がかわることもあります。
そういったときに自分で書いた遺言ですから書き換えたいときに認知症でなければ内容を書き換えることができます。
速めに着手しておくと時間的な余裕が生まれますのであとで何かあった時に対応がしやすくなります。
相続対策のご相談があったときこちらで様々な提案をまとめることがありますが、相続対策はエネルギーが必要です。
ご自身の身に何か起きてからだと判断ができない可能性や判断がブレる可能性もあります。
お元気なうちに比較的負担の少ないこと(例えばエンディングノートなど)から始めることも大切です。
相続対策には時間が必要なものもありますのでお元気であるうちにご自身の希望する形を実現するための準備をしていくのがよいとわたしは考えています。
遺言を遺したいというご相談があり電話口でお話を伺ったらホスピスに入っていると。
急遽段取りをして司法書士さんと翌日に伺うことになり、ご本人からも安心したと仰っていただきましたがお電話をいただいたその晩に急変してお亡くなりなったことがあります。
「いつ」がわからない以上は速めに着手してじっくりと取り組んでいかれることをおすすめてしているのはこのような経験があったからです。
まとめ
相続対策はやろうやろうと思っていて後回しにしてしまうことのひとつです。
いま穏やかに過ごしておられる方ほどそう感じてしまうのも致し方ない部分はあります。
ただコロナ禍で相談者の方の死生観が変わってきていると感じることもあり、思うことがある方は一度相談をしてみると進んでいくこともあります。