こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです
モノを作ったりそれを売ったり、また流通させたりするにあたっては在庫が発生することがあります。
在庫があるビジネスの場合には事業年度末だけ在庫棚卸しをして残っているモノを確認している事業者さんも多いかと思いますが、頻度を上げてできれば毎月確認すると良い効果が生まれます。
本来使った分を確認できる
売上=売上総利益、つまり粗利率100%のようなサービス業の場合には当てはまりませんが、何かモノをつくる、それを販売する、また仕入があるようなビジネスの場合は在庫があります。
例えば金属製品の製造業でしたら材料を仕入れてきます。
元々その月の初めに工場に残っている前月からの繰り越してきた原材料を先に使って仕入れたものの中から必要な分を使い、残った原材料は次の月に繰り越す、というのが基本的なモノの流れです。
今月に実際に使ったモノがどれくらいか、ということがひいては粗利益を確認することに繋がります。
これを数字で表現してみるとより分かりやすいです。
売上1,000 今月仕入500 前月からの繰り越し200 来月への持ち越し300 だとしましょう。
前月からの繰り越しや来月への繰越を全く考慮しない場合
売上-今月仕入=売上総利益(粗利益)という計算になりますので1,000-500=500という粗利益が算出されます。
繰越を考慮した場合
今月使った分をまず計算するための算式は
今月仕入+前月からの繰り越し-来月への持ち越し=今月使った分 となりますので
500+200-300=400 という今月使った分が計算できます。
売上-今月使った分=売上総利益という計算となるので1000-400=600という粗利益の計算です。
今月使った分のことを売上原価と表現しますが、今月使った分=今月仕入れた分、となっている場合には正確な粗利益が計算できていないことになります。
事業年度末に一回だけ全社棚卸ししている場合には事業年度を通しての粗利益はつじつまが合いますので決算上は問題がありませんが、期中に色んな判断を積み重ねていくはずです。
より精度の高い粗利益を把握することでこの後どうするか、ということを把握し経営判断に活かしたいところです。
在庫の処分セールなどのキッカケになる
棚卸しして在庫をタイムリーに把握しているとときどき、この商品や原材料は全然動いてないな、というものがでてくることがあります。
今後使う見込みがあればその状態でもよいですが例えば流行に乗り遅れてしまった商品でもう出せない、出すことができない場合には処分を検討しましょう。
というのもその在庫を抱える際にはおカネは出ていっていますがほったらかしだといつまでたってもその商品のままで塩漬けになります。
例えば原価すれすれでも売れたらどうでしょうか。200円定価だったけれど原価100円で売れたらどうですか?
もし例え1円であっても商品がおカネに戻ります。
おカネを払って買った商品がそのままだとなににもなりませんがもう売れないかもしれない、というものが値下げをして売れたらおカネに戻ることになります。
在庫処分セールでいくらになっても売れるのであれば売り切ってしまうのがいいと私は考えています。
モノによっては処分するのにおカネがかかる時代です。
スーパーで生鮮食品に値引きセールのシールが貼られるのはその日の在庫を減らして処分費用を減らすためでもあります。
処分費用も一日単位で見れば大したことないかもしれませんがチリも積もれば山となります。
もしどうしても売れないものであれば処分するしかありませんがこれを除却と呼びます。
この除却の処理は損失になりますので商品のままだと計上できないですが、処分できると損失になります。
勿体ないなと思うかもしれませんがそのままの状態で置いておくほうがもったいないわけです。損失にさえ計上できないのですから。
在庫とはいっても資産ですので最終的にはどう動かしていくのか、原価割れになっても回収できるように値引きするのか、いっそのこと全部処分するのか、そのような判断も在庫棚卸しを通してチェックできます。
在庫棚卸しをして処分をすることは節税になりますのでその点を踏まえるとやらないよりやったほうがいいです。
まとめ
棚卸しの大切さというのはあまり耳にしないかもしれませんがせっかく正確な月次試算表を作成したい、それを経営判断に活かしたいということでしたら棚卸しはとても大事です。
動いていないものがないか、というところから始めてみましょう。