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漫画家のための確定申告チェックポイント 平均課税応用編

平均課税応用編

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

漫画家のための確定申告チェックポイントとして以前に平均課税について記事を書きました。

今回はそこからさらに踏み込んで応用編として、通常の印税に係る売上と委託販売など書籍そのものの販売に係る売上がある場合について解説します。

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目次

売上の中身を分ける

まずは売上の中身を変動所得の対象になるものとならないものに分けていきます。

 

変動所得の対象になるのは「原稿又は作曲の報酬に係る所得及び著作権の使用料に係る所得の金額の合計額をいい、」(国税庁HPより抜粋)とされています。

 

漫画家やイラストレーターの場合は所得の内訳として著作権料や原稿料という項目のものと書籍等を販売する項目があります。

 

著作権料や原稿料としての収入は変動所得計算のもとになり、源泉所得税が天引きされているので分かりやすいです。

 

小売店やインターネットの書籍販売サイト、コミックマーケットなどで印刷した書籍を販売する売上とは区別されます。

 

変動所得の計算のもとになるのは著作権料や原稿料の部分で電子書籍の場合は電子印税という形に契約上なっており、源泉所得税が差引されます。

 

収入から源泉所得税が引かれているかどうかという視点で確認を進めていくと分かりやすでしょう。

 

販売元、配信サイトから送られてくる支払調書や毎月の支払い明細を確認すれば源泉所得税が引かれているか確認ができます。

 

FANZAやDLsiteなどの電子書籍を取り扱っているサイトは毎月キチンと明細が発行されますので忘れないように取得しておきましょう。

 

そのほかの出版社や販売会社からも定期的に販売部数の報告や振込内容の明細などが発行されますので確認します。

 

まずは自分の作品がどこで売られているのか漏れのないように確認をして源泉所得税の天引きの有無もチェックしておきましょう。

 

経費の按分

変動所得についての売上が把握できれば続いては経費についてみていきましょう。
変動所得を計算する際の経費については3種類考えられます。

 

一つ目が変動所得の売上にのみ係る経費。例えば電子書籍の販売手数料はそれに該当します。

 

二つ目が変動所得以外の売上にのみ係る経費。例えばコミックマーケットで販売するにあたっての出張旅費や同人誌などの印刷代が該当します。モノを売るためだけに係った費用と考えてよいでしょう。

 

三つ目が変動所得の売上とそれ以外の売上とに共通してかかる経費です。例えばソフトウェア代や家賃などが該当します。

 

変動所得を計算する際には変動所得にかかる売上からその売上に係る経費を差し引いて計算をします。

 

経費については3つ確認をしましたが、一つ目の変動所得の売上にのみかかる経費と、三つ目の共通してかかる経費のうち変動所得の売上に係る部分としてみれる経費の合計を経費とします。

 

一つ目は比較的簡単に確認できますが、問題は三つ目の経費です。この経費を変動所得に係るものをそうでないものに分ける必要があります。

 

どういう風に分けるかというのは合理的な説明ができるように分けることが必要で、最もシンプルなのは全体の売上に占める変動所得にかかる売上の割合を使用することです。

 

共通してかかっている経費を合理的に分けようと思うとこの方法が最もシンプルで計算をしやすいかなと思います。

 

この方法を用いて変動所得の計算のための経費を計算する算式は

変動所得にのみ係る経費+共通してかかる経費×(変動所得の売上/全体の売上)
となります。

 

これにより平均課税で使用する変動所得の金額を計算することができます。

 

売上をひとつずつ確認して変動所得にかかる売上を分けること、経費を分けて按分計算をすること、が重要です。

 

過去の申告の見直し

変動所得の計算は白色申告でも青色申告でも適用が可能です。

 

また適用を忘れていた場合には5年以内であれば更正の請求という払いすぎた税金を還付してもらう申告ができる可能性があります。

 

平均課税による計算の特例を適用できる要件は

・その年の変動所得と臨時所得(こちらも平均課税を計算する際の対象の所得です)の合計額がその年の総所得金額の20%以上であること

・変動所得がある場合にはその年の前年、前々年の変動所得の平均を超えていること

この2つの要件を満たしていれば平均課税による計算の適用が可能です。

 

イメージですが、作品を発表して売上が去年と比べて急増した、という場合には適用できるケースが多いです。

 

また反対に毎年同じぐらいの売上金額、という場合には変動所得があっても要件を満たさないこともあります。

 

このあたりの適用可否については一度詳しい専門家に判断してもらい、適用可能であれば申告をしてもらうことも視野に入れましょう。

 

実際、弊所のお客様でも数年前にご自身で行っていた申告について平均課税による計算が可能であったため更正の請求を実施し、問題なく還付となっております。

 

また平均課税により数百万円単位で税金が変わった(平均課税適用前と比べて実際の申告による税額が大幅に減少した)お客様もいらっしゃいますので、適用できる場合にはかなり影響が大きいです。

 

過去の申告内容を見返してみることをオススメしています。

 

まとめ

平均課税制度は耳にしたことがあっても実際に自分が適用の対象となるのかそうではないのか。また税理士でも経験したことが少ない申告の内容です。

 

一度セルフチェックしてみてひょっとして、と思ったら詳しい税理士に相談してみましょう。

 

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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