こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
士業のための経理・記帳のコツと題して、士業さん周りを整理していきます。前回は売上と源泉所得税についてでした。
今回は経費と家事按分について整理していきます。
そもそも経費とは
そもそも経費とは、ということを確認しておきましょう。
経費とは事業を運営していくうえで必要な支出であり、売上のために必要な支出でもあります。
この事業に運営をしていくうえでの支出、というのがポイントで事業に関係がない支出はいわゆるプライベートの支出となります。
同じ書籍を買うにしても漫画が事業に関係のないものであれば経費ではありませんし、漫画が仕事に関係のあるものであれば経費です。
この線引きというのはご本人が一番よく理解てしておく必要があって、税理士に仮に質問をしたとしても「事業に関係があるなら」という解答が多くなります。
この事業に関係があるかどうかの線引きは第三者がみてそれは確かに必要だよねと言うないようであれば問題ないでしょうし、いやそれはこじつけでしょう、ということになると経費としては厳しくなります。
経費として厳しくなるというのは後でご説明する税務調査の場面において、ということです。
私がお客様からご相談を受けて良くお伝えするのが「ほかの方が同じことをしていてズルいな、セコいな」と感じることはご自分にとっても黄色信号ということです。
自分自身に都合のよい方向で解釈しないように、後で聞かれたときに事業に関係していることを説明できるようにしておきましょう。
家事按分のルール
士業の方から事業とプライベートの部分が混ざっているであろう支出についてはどうすれば良いか?というご質問をいただくことがよくあります。
この事業とプライベートの部分が混ざっているであろう支出については、合理的な方法で按分することで事業にかかる部分を経費として計上することができます。
そもそも事業のためかプライベートかという線引きについてはもうひとつ考えるポイントがあります。それは「仮に事業をしていないとしても支出するものか」という点です。
事業をしていなくてもかかるものかどうか、というのは考え方のひとつのポイントで、コンビニでお昼ご飯を買ったとして、事業をしていなくてもそのお昼ご飯を買って食べるというのは生活の中での支出となります。
特に衣食住に関わる支出というのはこの事業をしていなくても生活の中で必要な支出になります。つまりこの部分を適切に事業に係るものかプライベートのモノかに分けられることが適切な利益計算の基礎となります。
事務所を構えている場合にはその事務所の賃料、水道光熱費、事務所までの交通費などは経費として考えやすいですが、自宅事務所の場合は按分をする必要があります。
自宅で寝食をするにあたっても支出がありますし、仕事をするためのスペースや通信費なども必要です。
これらを合理的な方法で区分するためには、自宅の賃料であれば仕事をしている時間、その部屋の面積などを元に計算をすることになります。
通信費や水道光熱費については、例えば仕事をしていない状態から仕事をしている状態の差額がもし分かるのであればその部分が事業に必要な経費として考えやすいでしょう。
インターネットやスマートフォンについては使用時間に基づいて計算をしますし、事業にも使っている車があるのであれば走行距離や時間、頻度に基づいて計算をします。
事業のためだけに必要な支出であれば問題なく経費ですが、そうでない場合には家事按分をして事業の部分とプライベートの部分を分けることが必要です。
個人の税務調査は経費チェックが厳しめ
個人事業主には税務調査が来ないと思っている方はたくさんいらっしゃるようですが、こちらがどう思っていようと来るときは来ます。
特に売上が1,000万円前後から1,000万円を超えているような場合には消費税との兼ね合いもあり、税務調査の対象になりやすいと言われています。
それでも法人と比べると頻度としては確かに高くはないのですが、物事に絶対はありませんので税務調査はいつか来るものだと考えておくほうがよいでしょう。
個人事業主の税務調査において重点的に見られるのは経費のチェックです。個人事業主の経費計上基準は税務署側から見ると甘いという認識のことが多くあり、事業に関係するかどうかの説明が求められることがあります。
この時点で事業に関係があるかどうかを説明ができないと経費として計上することが難しいのですが、ご自身でルールを決めておかないと付け焼刃になってどこかでほころびが出てしまうことになります。
もちろん他の項目として売上の抜け漏れがないかや期ズレと呼ばれる計上すべき期のズレがないかも確認されますが、より経費については厳しい目で見られるということは心の片隅に置いておきましょう。
その時になって慌てないように日ごろから無茶な経費計上はせず、事業に必要であることを説明できる内容で按分をするように心がけておくことをお勧めしています。
まとめ
経費計上についてよくご質問を受ける内容をまとめてみました。
他にもたくさん気になるところはあるでしょうが大原則として「事業に関係があるかどうか」を意識しておけばおのずと答えが出ることが多いです。