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フリーランスになったら小規模企業共済のワケ

金の卵

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

フリーランス・個人事業主の方は一度は聞いたことがあるかもしれません、「小規模企業共済」という共済の存在を。

 

フリーランスになったらとりあえず小規模企業共済にはいる、という方もいらっしゃるかと思いますが、なぜなのか。そのワケを解説します。

 

目次

小規模企業共済とは

小規模企業共済とは簡単にザックリと説明をすると「個人事業主等が毎月積み立てて、廃業などした時に退職金としてもらえる」という制度です。

 

会社員であれば退職金がある場合も多いですし、大きな企業に勤めている場合にはそれなりの退職金が出ます。

 

一方個人事業主においては退職金はないです。そもそも自分自身への給料がないので、給料の後払い的性質のある退職金は発生しません。

これじゃいくらなんでも個人事業主が不憫だろう(と御上が言ったかはわかりませんが)ということで、個人事業主向けの退職金制度が設立されました。

 

要件を満たした個人事業主や法人の役員であれば加入ができます。

積立ておいて後でもらえるということで手続きも比較的簡単ですし、金額変更も可能です。(最大で月7万円まで)

 

自分が積み立てたものが戻ってくるということで当たり前と言えば当たり前なのですが、この後説明する理由により、税金計算上のお得感がものすごくあります。

 

ちまたにはiDeco(個人型確定拠出年金)やNISA、つみたてNISA等の各種制度がありますが、私がお客様から相談をされたら小規模企業共済をまず第一選択としてオススメしています。

 

小規模企業共済は投資商品を自分で選ぶ必要がないですし、万が一の時にも解約できる(iDecoは原則60歳まで解約不可)ので、資金の流動性としては高いと考えています。

 

定期預金するぐらいなら小規模企業共済

定期預金するぐらいなら小規模企業共済を検討しましょうとお伝えしているのですが、それは税金計算上の優遇(入口と出口の両方)があるからです。

 

入口の優遇

入口の優遇というのは、支払った時のメリットのことです。

 

小規模企業共済を支払った場合にはその金額が全額、所得控除の項目として利益から引き算できます。

 

税金計算のながれとして

売上-経費=利益

利益-青色申告特別控除=所得金額

所得金額-所得控除=課税所得金額

課税所得金額×税率=税金

という流れです。

 

この流れの中で、所得控除というものがありますが、所得控除項目のひとつとして小規模企業共済で支払った金額を全額控除できるということです。

 

定期預金だと自分が勝手に積み立てているだけなので控除にはなりませんが、小規模企業共済ですと控除できます。

 

イメージでと言うと、月1万円を年間で積み立てた場合、12万円分の経費が増えるというイメージでよいです。積み立てた分が経費になるかならないか、という点で大きな違いがあります。

 

入口の優遇もですが、もっと税金計算上のメリットを感じられるのが出口の優遇です。

 

出口の優遇

出口の優遇とは、積み立てた共済金を受け取る時のメリットのことです。

積み立てたものについてその金額や共済に加入していた期間に応じで、まず積み立てた金額以上の共済金が受け取れます。

 

例えば、3万円/月を420ヵ月(35年)積み立てた場合の試算をしてみると、以下のような金額を算出できます。

 

積立金額 3万円×420ヵ月=1,260万円

共済金額(HPでの試算)1,515万円

となり、およそ20%を積みまして受け取ることができます。

 

受取方法は一括もしくは年金方式(分割)になりますが、今回は一括受取で計算をしてみます。

 

小規模企業共済の共済金を一括で受け取る場合には退職所得という税金計算区分により所得税を計算します。

この退職所得として計算できるというのがポイントです。

 

冒頭で個人事業主の退職金目的に創設された面があります、とお伝えしましたがここでその退職所得として計算できることについて最大のメリットがあります。

 

退職所得に係る税金計算はかなり優遇されていて以下のような流れになります。

(退職金-退職所得控除)×1/2=所得金額

となります。

 

上記の例でいうと退職金を1,515万円として計算してみましょう。

 

退職所得控除の計算は

勤続年数20年以下 40万円×勤続年数(最低80万円)

勤続年数20年以上 800万円(40万円×20年)+70万円×(勤続年数-20年)

となります。

 

個人事業主の場合の勤続年数ですが開業してからではなくて小規模企業共済の組合員になった時点から計算をしますのでこの点は注意が必要です。

 

例に当てはめてみると、420ヵ月=35年ですから

800万円+70万円×(35年-20年)=1,850万円という退職所得控除の金額となります。

 

これにより計算をしてみると退職金よりも退職所得控除の金額のほうが大きい(1,515万円<1,850万円)ので、退職所得控除後の金額がマイナスになり、退職所得として受け取る金額には税金がかからないことになります。

 

増えて受け取れる+退職所得計算のメリットを受けられるということの出口課税の優遇が小規模企業共済の最大のメリットです。

 

定期預金の利回りを考えただけでもその違いは歴然としています。

 

勤続年数が組合員としての加入年月となるので、早めに小額(最少掛金1,000円/月)から加入して事業が波に乗り回せる分が出てきたら増額すればよいという運用の仕方をお伝えすることが多いです。

 

まとめ

小規模企業共済の存在を知らない方も意外と多いのですが、フリーランスになってまず検討したい節税対策としては第一選択になります。

 

より詳しく内容を知りたい方、検討したい方は小規模企業共済のHPで加入要件などを確認してみましょう。

小規模企業共済

 

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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