京都の若ハゲ税理士ジンノです。
相続税対策において贈与を実行すること、またご提案することはよくあります。
コツコツと贈与を積み重ねることで得られる相続税への影響というのは、私自身は相続税に与える効果が一番高いと考えています。
その贈与する際に確認しておきたいことを解説します。
贈与する方として
財産を贈与する方として確認しておきたいことがいくつかあります 。
まず一つ目としては、その贈与によりどれぐらいの相続税への影響があるかどれくらい節税になりそうかというのを把握しておくことが必要です。
何のための贈与が考えた時に、やはり一番の目的としては贈与により相続税をコントロールするという点があります。
どれぐらいの期間にわたっていくらぐらいを贈与するつもりなのか、それによりどれぐらいの財産の移転があって、相続税にどれくらいの影響を及ぼすのか、贈与の前に確認しておきましょう。
二つ目としては、ご自身の財産の状況を把握した上での贈与にしていただきたいのですが、財産を贈与により移転しすぎるとご自身の生活に影響を及ぼすことが時折あります。
相続税対策をしようとして贈与し過ぎてしまった、というのは意外なほどよく見かける現象で、そうなると一度贈与した財産を返してもらうと言う結局何のための贈与かよく分からないことが起き得ます。
贈与する前には自分の手元にいくらぐらいの財産を残しておきたいか、ライフプランを考えながら贈与する財産の額を決定した方が良いです。
三つ目としては、その贈与により移転した財産が例えば現預金の場合、その現預金を使ってもよい財産かどうかを 贈与される方に伝えておいた方が良いです。
もちろん贈与された財産の処分権は贈与された方にあるのですが、教育資金にあてて欲しいのか、相続税をそこから払って欲しいのか、そういうことを伝えしておかないと、ご自身の目論見と違う使われ方をする可能性もあり、贈与した方とされる方でわだかまりが残ることが時折あります。
相続税を支払うのに事前に贈与しておいてそこから払ってほしいという心づもりだったのに、いざ蓋を開けてみればその点を伝えていなくて、相続税の支払いを相続財産からしなければいけないケースもあります。
もちろんそれで良いのですが、何のための贈与でどういう目的があって、という意図は同意する方から説明しておいてあげるのが一番ではないでしょうか。
贈与される方として
贈与される方としての注意点もあります。
まず一つ目は、その贈与される財産をご自身で管理処分できるかどうか確認しておいた方が良いです。
これは名義預金との兼ね合いもあり非常に重要なポイントなのですが、現預金の贈与の場合、贈与する方は贈与したつもりになっているんですがもらった方でその認識がないことが往々にしてあります。
贈与された方で財産を管理処分できないということは、ただ単に名義が変わっているだけで実質的には贈与した方が贈与したつもりになっている、という状態になります。
こうなると実質的に贈与されていないものとして名義財産として相続財産に加算されてしまう可能性が高くなります。
現預金の贈与の場合にはそのもらった財産をご自身で管理しておくことが非常に大切です。預金口座であれば預金通帳と印鑑、キャッシュカードこういったものが贈与されたご本人の手元にあるかどうかは確認しておきましょう。
続いて二つ目として、贈与された方が贈与税の申告が必要かどうかを確認しておきましょう。
通常の贈与であれば1年間に110万円の基礎控除があり、贈与された財産の価額がその110万円を超える場合には贈与税の申告が必要となります。
贈与税の申告をすべき人は財産を贈与された人ですので、もらった方で1年間にいくらトータルで財産をもらったかはチェックしておく必要があります。
基礎控除の金額というのは一対一の関係=財産を贈与した側一人当たり110万円ではなくて、財産をもらった側一人当たり110万円の計算になります。
つまり、おじいさんから100万円を贈与されて、おばあさんから100万円を贈与された場合には、トータル200万円について110万円を超えていないかどうかという確認が必要です。
この場合においては贈与税の申告が必要となります。
最後に三つ目として、贈与契約書を用意した方がいいか贈与する方と相談して決めておきましょう。
というのも贈与の契約というのは、口頭でも成立します。要するに「あげました」「もらいました」で成立します。
贈与契約書がないと贈与が成立しないわけではないので必ずしも必要というわけではないのですが、後から見返した時に贈与があったことの証拠として、資料を整えておくという意識はとても大切です。
万が一税務調査になった場合には、この資料を整えておくことの重要性というのが非常に増してきます。
資料がある状態で贈与があったことを説明するのと、資料がない状態で贈与があったことを説明するのとでは説得力に大きな違いが生じます。
手間を惜しまないということであれば贈与契約書はきちんと整えて、贈与する方とされる方でお互いに1通ずつ保管しておくのが望ましいです。
まとめ
このような事務的な手続きの証拠資料が残っているかどうかというのは税務調査における心証を大きく左右します。やましいことがないと言うのは簡単ですが、それに行動が伴っているかどうか、丁寧に資料を残しておくだけでえられる効果というのもやはりあります。
贈与を実行する際には、お互いに気を付けるべき点をチェックしながら確実に円満に実行して行きましょう。