京都の若ハゲ税理士ジンノです。
フリーランスの方のお悩み事としてお仕事が順調であればあるほど、人を雇うかどうか迷う、ということがあります。
ご自分一人でやる仕事量としてキャパオーバーしていたり、仕事をお断りする状況がある場合は特に考えることが多いようです。
人を雇う前に考えておきたいことをお伝えします。
ひとりで出来ることには限界がある
お仕事がたくさんあって、ご依頼がたくさんあると、自分自身の仕事量のキャパシティが限界を迎えるときが来るでしょう。
そのときに業務を増やしていく方向性なのか、ひとりでやっていくのかは考えておいたほうがよいでしょう。
ひとりでやることが気持ち的にもラクでイイという方が私の周りやフリーランスのお客様には多いです。
わたし自身も人を雇っていませんので、同じ気持ちですが、ひとりでやることには収入面でも時間面でも限界があります。
その限界を超えたいと思うのであれば人を雇うという選択肢は検討したほうがよいでしょう。これはご自身の業務量が限界を迎える前に考えてほしいと個人的に考えていますしお伝えしています。
というのもフリーランスで仕事をしておられる方はもちろん代わりがいませんし、体力や気力面で限界が来ると仕事が回らなくなり、体調不良の原因になり得ます。
いまは働き方が自由になってきていますし色んな方法があります。週5日平日に仕事をしなければいけないというモノでもないです。それは自分自身も誰かを雇った時も、です。
例えばパートタイムで午後の3時間だけという形態も検討できますし、在宅勤務という選択肢もあります。
他には、週4日は従業員として仕事をしてもらって、あとの日数は個人事業主として自分のしたいことをしてもらう(副業を認める代わりに従業員としての給与もセーブする)という働き方も今では可能です。
従業員を雇うのか外注に出せる仕事は外注に出すのか、そのあたりの線引きと、自分自身が今後どのように仕事をしていきたいかはやはり考えておきたいところです。
そのうえで人を雇うことを検討する際に注意すべき点をお伝えします。
税務的な注意点
人を雇う時は税務的な届出が必要となります。許可という意味ではなく、人を雇いますこういう状態です、というお報せのようなイメージでよいです。
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
こちらの書類はフリーランスの方やひとり社長(法人の場合は自分に役員報酬を支払うので設立時に)が給与の支払いをする際に最初に税務署に届け出ておく必要がある書類です。
この書類を出しておくことで、給与支払いについての各種書類(年末調整のための書類など)が事業所宛に届くこととなります。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
従業員さんに給与を支払い場合、金額によっては源泉所得税として給与から天引きして所得税を預かり、従業員さんの代わりに所得税を納める必要があります。
原則として毎月給与を支払うのであれば毎月預かって毎月10日までに納める必要があるのですが、事務手続きとして煩雑ではあります。(ダイレクト納付など便利な納付方法もありますが、今回は割愛します)
その源泉所得税の納付について、一定の条件(常時雇用する人が10人未満)である場合には納付を半年に一回で済むように申請をすることができます。
1月から6月までの分を7月に、7月から12月までの分を翌年1月に納めることができるので事務的負担は軽減されるでしょう。
労務で考えておきたいこと
誰かを雇う時には労務的な届出や整備が必要です。
例えばフリーランスの方でも社会保険の任意適用事業所を選択することができます。
一定の要件を満たせば、従業員さんを社会保険加入とすることが可能です。(任意適用の場合は事業主は国民健康保険)
就業規則や雇用契約書の整備も必要ですね。
どんな仕事をするのか、どんな賃金体系かなどの待遇のルールや職場におけるルールを決めておくことで不要なトラブル(雇用主と従業員間のトラブル)を防止する役目もあります。
また近年では従業員を雇うとキャリアップ助成金などの助成金・補助金の支給がある場合があり、就業規則はその支給を申請するための必要条件のひとつです。
労働保険(労災保険と雇用保険)への加入も必須です。資金繰りの面でいうと労災保険料の支払いが人を雇用し続ける限り必要となります。
労務面でもイロイロと手続きやキャッシュアウト、資金繰りについて確認しておいたほうがよいことがありますので、誰かを雇う時には必ずシミュレーションをしておくことをオススメしています。
まとめ
[box03 title=”本記事のまとめ”]- ひとりで出来ることには収入面でも業務量でも限界はある
- 人を雇うのか、外注するのか、ひとりでやっていくのかは考えておいたほうがよい
- 税務面、労務面、キャッシュフローなどのシミュレーションを
フリーランスの方でご自分で申告をしている方、年に一回税理士に見てもらっているだけの方などは一度きちんと今後の方向性を検討しシミュレーションすることをオススメしています。