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相続税の申告書、自分で作成出来ますか?というご質問にお答えします。

自分でやりたい
[chat face=”komatta_woman2.png” name=”” align=”left” border=”yellow” bg=”none”] 相続税の申告書の作成を自分でできるかしら? [/chat]

時折このようなご質問をいただくことがあります。

結論から申し上げると、もちろんご自分で出来るとは思いますがそれが適切な内容になる可能性は低いです。

具体的にどんな点が相続税の申告書において難しいのか、ご自分で申告書を作成するにあたってどんなハードルがあるかを解説いたします。

目次

相続財産の範囲というハードル

相続財産の範囲というと、なんだそんなことか、と言われてしまいそうですが申告書の内容でも最も気を付けるべきポイントのひとつです。

 

相続税の計算の性質上、亡くなった方の亡くなった時点の財産をすべて集めてきて税金の計算をします。

 

目に見えているもので、亡くなった方の名義の財産であればもちろん計上されますがそれ以外にも計上される財産があります。

 

注意が必要なのが、名義財産の取り扱いです。

名義は亡くなった方以外のご家族の名前になっているけれど、実際には亡くなった方の財産、として税務上みなされる財産があります。

 

例えば子や孫、配偶者に贈与したと思っていても実はできていなかったとみなされる「やったつもり贈与」の場合には、そもそも贈与していないとみなされるので亡くなった方の財産として相続税の計算上は相続財産に入れる必要があります。

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特例適用の判断というハードル

相続税の申告書を作成する際には様々な特例適用を検討する必要があります。

 

最も税金計算への影響が大きい特例のひとつとして「小規模宅地等の課税価格の特例」という特例があります。

 

この特例の特徴をごく簡単にお伝えすると、相続税計算上、一定の使用目的の土地の価格を減額することができる、という特例になります。

 

つまりはこの特例を適用できると相続税を減額する効果を得られるということです。

ご自宅の敷地であったり、事業をしておられる事業所の土地や、貸付しておられる土地が特例の対象になります。

 

同じ相続財産を取得して相続税が減額できるのであればぜひとも適用したいところですが、税金を下げる効果のある特例ですから適用にあたって様々な要件を満たす必要があります。

 

この要件を満たしているかどうかで特例適用の可否を判断するのですが、近年この要件が複雑になっており判断が難しくなっています。

 

適用可否の判断は亡くなった方の亡くなった状況、財産を相続する方の状況により大きく左右され、また形式的ではなく実質的にどうか、という視点も必要なので慎重な判断が必要になります。

 

この特例適用ができるかどうかの判断は、普段相続税の申告に接することのない方には大きなハードルになります。

遺産分割協議と税負担シミュレーションというハードル

相続税の計算をする場合、遺言に基づくか、遺産分割協議に基づくか、という2パターンが存在します。

 

遺言の場合には亡くなった方の意思が書面になっていますので、最優先されます。

 

遺産分割協議というのは亡くなった方が遺言を残しておられない場合に、相続人全員で誰が何を相続するか決める手続きになります。

 

この手続きを経ないと実際に財産を分けたり登記をしたりというのが困難になります。

よって相続税がかかる、かからないに関わらず遺言がない場合には遺産分割協議が必要です。

 

遺産分割協議においては誰が何を相続するかを相続人で決めることになるのですが、前述の特例がそこに大きく影響することがあります。

 

というのも、例えば同じ自宅の土地でも長男が相続したら特例が適用できるけれど次男が相続すると特例が適用できない、という状況が発生することがあります。

 

そうなると同じ土地を相続して相続税が異なるパターンというのが発生します。特例適用の判断とともに、遺産分割協議の内容で相続税が大きく変わってしまうのです。

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税負担シミュレーションの難しさ

また、配偶者の方が相続人である場合には配偶者の税額軽減という特例を適用できます。

この特例を適用すると、相続財産の半分もしくは相続財産が1億6千万円までについては配偶者は相続税が減額され、実質的に相続税の負担がないことになります。

 

つまりは亡くなった方の財産が1億6千万円以下であれば、配偶者が財産を全部相続しても相続税がかからないということになります。

 

この話を聞くとじゃあそれでお願いしますという方が非常に多いのですが、財産を相続した配偶者の方ご自身の相続のことを考慮したほうが実はよいのです。

 

相続実務においては、最初に亡くなる方の相続を一次相続、配偶者の方の相続を二次相続と表現します。

 

一次相続における相続税と二次相続における相続税をセットで考える必要があり、仮に同じ1億円を相続するにしても、税負担が倍になったりする可能性もあります。

 

配偶者の方が現時点でどのくらい財産をお持ちなのか、また今後生活していくうえで必要になりそうな金額をシミュレーションしつつ、二次相続とのトータルで税負担をシミュレーションし、遺産分割協議の内容を検討する必要があります。

 

財産の分け方で税金の負担が大きく変わるというのが相続税の特徴でもあります。

 

相続人の方のご意向を伺いつつ、みなさんが納得する内容で、かつ税負担について詳細にシミュレーションをするには一定の経験と知識が必要です。

まとめ

[box03 title=”本記事のまとめ”]
  1. 相続税申告書の作成はいくつものハードルがある
  2. 財産の分け方で税金の負担が大きく変わるのが相続税
  3. 特に税負担については詳細なシミュレーションが必要
[/box03]

相続税の申告書を作成する際には本日お伝えしたハードルを無視すると、適切な申告書の内容にならず、また税負担が大きい内容になる可能性が高くなります。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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