こんにちは、京都の税理士ジンノです。
私自身は相続税の申告、相続関連業務を得意にしておりまして、相続に関する疑問やあれやこれやに当サイトではお答えしていきます。
まず最初は相続についてカギを握るのは「ヒアリング」だということを解説します。
なぜそんなことを聞くのか?
「なぜそんなことを聞くの?」
「それは答えなければいけないの?」
ということを相続人の方から聞かれることがあります。
相続税の申告は、亡くなった方の財産を集めて亡くなった時点の税金を計算するのが大まかな流れです。あくまで対象となるのは亡くなった方の財産です。
ポイントは「亡くなった方の」ということなのですが、もちろんご生前から税理士と付き合いがあって、どんな仕事をし生活をして過ごしておられたのかというのがわかれば一番です。
でも相続税の申告というのは普段から税理士とお付き合いがない方のほうが多く、初めて税理士にお世話になるという方も多くいらっしゃいます。そうなると当然、税理士側としても生前の様子というのが気になります。
亡くなった方の財産というのは、お元気なうちに築き上げたものです。どうやってその財産が遺されたのかはとても大切ですし、相続人の方からお伺いすることで判明することはたくさんあります。
一見すると相続とは関係がなさそうに思える質問を丁寧に説明しながらお伺いできる税理士は相続にとても長けた税理士と言えるでしょう。
具体的にはこんな質問をしていきます。
[box03 title=”質問の一部”]- お勤め先はどこでしたか?どんな仕事を何年ぐらいしていましたか?
- 趣味は何ですか?
- おカネの使い方は質素でしたか?豪快でしたか?
- おカネの管理はだれがしていましたか?
- 生活費は月々どれくらいでしたか?
- 出身地はどこですか?
- 転勤はありましたか?
- 保険は好きでしたか?
- 誰と住んでいましたか?
- 老人ホームには入っていましたか?
- どこで亡くなりましたか?自宅ですか?病院ですか?施設ですか?
- 亡くなったのは病気ですか?どんな病気ですか?
- 亡くなる前は意識ははっきりしていましたか?ご本人の意思は確認出来る状態でしたか?
- ご家族との関係や良好でしたか?あまり良くなかったですか?
- 特に目をかけていたご家族はいますか?
- 亡くなる前は誰が主に療養看護のお世話をしていましたか?
これらの質問は、相続税の申告を行う際に実施するヒアリング内容のほんの一部です。
財産の内容=不動産や金融資産、保険契約の有無、遺言の有無、分割協議の方針などは税理士であれば誰でもきけることです。
それ以外の財産に直接関係していないように思える質問がどれだけできるか?また説明できるか?というのは相続に強い、経験のある税理士を選ぶ際のポイントの一つだと私は考えています。
ちなみに上の質問の内容や理由、それ以外でヒアリングしておきたいことについては、今後どんどん解説していきます。
こんなに細かくお話を伺う理由
ではなぜこんなにも細かくご質問をしてヒアリングするのか?理由は2つあります。
1つめは亡くなった方にはお話が聞けないから、ということです。
当たり前と言えば当たり前ですが、ご生前の様子を税理士が知っているケースというのはまれです。
中小企業の経営者・創業者の方で、普段から顧問税理士と密に連絡が取れていたというケースであれば話は別ですが、特に相続税の申告の場合は税理士とお付き合いがない方が大半です。
顧問税理士がついていても、相続税の申告と法人税や所得税の申告とは全く性質が異なります。
改めて経営者の方のプライベートの生活実態を知っているかと聞かれると顧問税理士であっても分からない部分が多いのも事実です。
意外と顧問税理士とは距離を置いてお付き合いしている経営者の方も多いですし、大きな税理士事務所になってくると法人担当と相続担当が異なるケースもあります。
そうなるとこちらとしても相続人の方、財産を遺された方にお話を伺うしかすべがないのです。
それゆえ聞き逃しがないようにしておきたいというのがヒアリング量が多くかつ細かくなる理由のひとつです。
もう1つの理由が、相続税の税務調査対策の側面があるからです。
税務調査というと、みなさんお好きでない方のほうが多いでしょう。
相続税の税務調査の割合というのは一説によると相続税申告全体の約20%といわれています。
相続税の申告割合(亡くなった方のうち相続税の申告をした方の割合)はおよそ8%(全国平均)。
100人のうち8人が相続税の申告が必要な計算となります。
相続税の申告割合は都市部で突出しています。
特に東京都23区内だとおよそ倍の15%ほどと言われています。
これは都市部の地価が高いのも要因のひとつです。
100人のうちの8人のうちの20%ですから、1.6人の割合です。大まかにいうと5人に1人ですから、考えてみると結構な割合です。
法人数およそ260万社にたいして9万8千件の税務調査(約3.7%)
個人申告件数2,170万件にたいして64万7千件の税務調査(約2.9%)
(平成28年事務年度国税庁発表資料より)
結構な割合で税務調査があることがわかりますし、個人や法人の場合は税務調査慣れというのをある程度持っておられる納税者のかたも多いです。
ところが相続税の税務調査というのは、基本的に初めての方ばかりです。税理士であっても相続税の税務調査に立ち会ったことがない税理士のほうが多いのが現状です。
相続税の税務調査は申告書を提出してから概ね1年から2年の間に連絡があります。亡くなってからだと約2年から3年後ということになります。この申告書を出してから間が長いとどうなるかというと、どんどんと忘れていってしまうことが多くなります。
相続税の税務調査というのは亡くなった方に話がきけないことをいいことに、推定で話が進むことがありますし、基本的に財産を隠している、都合が悪いことは忘れているという性悪説的に調査をされます。
ですので記憶が鮮明なうちに税務調査で聴かれるであろうことを整理しておく、という意味合いがあります。
丁寧にお話を伺ってヒアリングをしておくことで、もし万が一税務調査があっても大丈夫ですね、という安心感を相続人の方にもってもらう目的もあります。
この際にはよく税務調査の可能性の話を聞かれるのですが、やはり財産規模が大きくなればなるほど調査の確率は高くなっていきます。では財産規模が小さければ調査の確率はないかというとそういうわけでもありません。
というのも税務署側でも申告書提出後に机上で申告内容をチェックします。
その際に職業に応じた財産規模がなかったり、財産を隠していることが疑わしかったり、税理士関与がなかったりすると調査の可能性としてはやはり高まります。
まとめ
ヒアリングが相続税申告業務ではとても大切だということがお分かりいただけたでしょうか?
既に申告していて税理士の申告内容が不安だ、ヒアリングをキッチリされていない、税務調査は別の税理士に頼みたいという方は是非一度スポット相談をご利用ください。
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税理士にとっても相続税申告の経験が少なければ不安の大きい申告内容になっている可能性はあります。事前相談でも事後相談でも受け付けておりますのでスポット相談をご検討いただければ幸いです。
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