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相続の場面で問題になる贈与とは

生活資金の贈与にもご注意を

相続税対策などで贈与の話が出てくることがあります。一方で、税理士に相談することなく贈与をしているケースも、相続税申告でのヒアリングの際によく見受けられます。

気軽にできる現預金の贈与であれば、なおさら税理士に相談するまでもないと思われることもあるでしょう。実際に、贈与税単独で税務調査になることはほぼありません。

しかし、相続の場面で問題になる贈与が圧倒的に多いのが現実です。どのような問題が生じるのか、整理してご説明いたします。

目次

問題になる贈与のパターン

相続の場面で問題になる贈与について、主なケースをピックアップしてみます。

1. 贈与が成立していない「つもり贈与」

まず、贈与だと思っていたけれど実際には贈与ではなかった、というものが出てくることがあります。

贈与した「つもり」になっているものが意外と多いのが実情です。

贈与とは、財産を渡す人の「渡します」という意思と、受け取る人の「受け取ります」という意思が合致して初めて成立します。

贈与したつもりになっているもので多いのが、受け取っているであろう人が「知らない」という状態です。受け取ったことを知らないのであれば、贈与されていない状態と言えます。

これを回避するために贈与税申告をしているケースがありますが、贈与が成立しているかどうかと贈与税の申告をしているかどうかは別の問題です。

贈与が成立していても贈与税申告をしていない人は実際にいます(道義的、道徳的な問題はありますが)。逆に、贈与税の申告をして納税しているからといって贈与が成立しているとは言えません。

贈与したつもりになっている財産については、多くの場合、贈与した人が通帳などを管理していることで、通帳の存在や受け取ったことすら知らないことで生まれる状況です。

少なくとも財産を受け取った人がそれを知らない状況は贈与の成立においてはあり得ません。管理状況も含めて贈与したと言えるかどうかは、改めてチェックしておいたほうがよいでしょう。

相続税申告や税務調査の場面で問題になるのが、この贈与したつもりになっていた財産です。実際には贈与されていない、贈与契約が成立していないことによる名義預金の指摘を受けることになります。

2. 生活費として渡した財産が贈与認定される場合

もうひとつ問題になる贈与パターンをご紹介します。

それは、生活費のつもりで渡した財産が贈与と認定されることがあるということです。

例えば、夫婦として生活費を毎月やり取りし、それをやりくりすることで日々の生活を成り立たせているご家族は多いと思います。むしろ昭和世代からのご家族であれば一般的な金銭のやり取りであり、その行為そのものが問題になることはありません。

この生活資金のやり取りで問題になるのは、やりくりの結果余っているものがあると贈与と認定される可能性があるというところです。

これはいわゆる夫婦間の生活資金のやり取りで生まれた「へそくり」と言えます。

へそくりは夫婦の共有財産ではないのか、という疑問があるかと思いますが、特に現預金については夫婦共有の財産であっても「稼いできた人のもの」というのが税務上の取り扱いになっています。

つまり、へそくりも夫の稼ぎから構成されていると推認できる場合には相続財産になりうるということです。

夫婦間の生活資金のやり取りについては、特にその余った分(へそくり)について相続の場面で問題になることがあります。

問題にならない贈与もある

前段の夫婦間での生活資金のやり取りがあった場合の取り扱いで、余った分(へそくり)について触れました。

では余らなかった分についてはどうでしょうか。「生活資金として必要な部分」については贈与税が非課税という取り扱いになっています。

具体的には、夫婦や親子、兄弟姉妹の間などの扶養義務者間での生活費や教育費で通常必要と認められるものについては非課税です。

注意点としては、必要な都度直接これらに充てるためのもので、生活費や教育費に充てずに預金したり株などの購入資金に充てると贈与税の対象となる点です。

まとめ

贈与を検討される際は、単に財産を移転するだけでなく、適切な手続きと管理が重要です。相続対策として贈与をお考えの場合は、後々のトラブルを避けるためにも、事前に税理士にご相談されることをお勧めいたします。

相続の場面で問題となる贈与は、主に以下の2つのパターンに分けられます。

問題となる贈与

  • 受け取る人が知らない「つもり贈与」による名義預金
  • 生活費として渡したお金の余剰分(へそくり)の贈与認定

問題とならない贈与

  • 扶養義務者間での生活費・教育費として実際に使用された部分
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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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