ご自身で帳簿付けをして決算をする、という場合には簿記一巡の流れを理解しておくと帳簿の内容を整えやすいです。
基本的に簿記一巡ができていないことによる理解不足が決算整理や決算処理の不足につながります。
簿記一巡とは
簿記一巡とは簡単に言うと、取引→記帳→決算→財務関係書類のこの流れのことを指します。
いろいろと間に入ってくることもありますが大まかな流れとしてはこうです。
事業者は日々取引を行いますがその情報を記録したものが記帳の内容となります。
モノを買う、サービスを売る、いろんな取引が日々あるものですし、現金や預金を通す取引もあれば現預金が通らない取引もあります。
お金の支払いや管理などを担うのが経理部門であり、その取引の内容を帳簿付けしていきます。
お金の出入りがあればそれを記録することになりますのでわかりやすいです。
例えば営業で使う車両を購入したとしましょう。
普通預金から車両の購入代金を振り込みました。この時点では請求書と普通預金の口座の中身の移動しかありません。
これを帳簿付けすると以下のようになります。
車両運搬具/普通預金 〇〇円
となります。
まずは取引があってそれを記録するための帳簿がある、という流れをおさえておきましょう。
ここが抜けているといきなり減価償却は…みたいなことを考え始めてしまって理解が追い付かなくなります。
取引をまずは把握して記録する、ここが大事です。そのあとで決算と財務関係書類=財務諸表という流れになります。
決算整理とは
では決算をするにあたっていきなり決算書を作れるかというとそうではなく、決算整理という工程が入ります。
決算整理とはどういうものかというと、例えば前段の車両購入で考えてみます。
営業車両を購入したという取引は記録しましたが、この状態だとお金が車両に代わっただけで使ったことによる経費にはなっていません。
普通預金→車両なので資産から資産に形を変えただけと言えます。
車両は使ったり時の経過で経費化していくのですがこの手続きを減価償却といいます。
減価償却は決算整理のひとつですが月次決算をしている事業者だと毎月落とし込む(年間の減価償却費を月割りして計上)ことをしているところもあります。
ただ決算整理で計上することも問題があるわけではないのでそこは流派の違いということでご理解ください。
決算整理で仮にその車両を減価償却して経費化しようと思うと、お金の動きはない状態です。
お金は車両購入時に動いています。
減価償却費/車両運搬具 という決算整理仕訳を記録することで、減価償却費という経費が計上されて車両運搬具の価額が減ります。
車両という減価償却の対象になる資産だけが決算整理の対象になるかというとそういうわけではなく、未収収益、未払費用、前受収益、前払費用などをそれぞれの勘定科目で必要な処理をして初めて決算整理です。
その事業年度の取引で気になることがあればそれも決算整理で修正することはよくあります。
こういったことを少し意識するだけでも決算への取り組み方が変わってきますのでご自身の事業の取引内容からどのような決算整理が必要かも一度見直しておきましょう。
まとめ
簿記一巡の流れを理解することは、適切な決算処理を行うために重要です。基本的な流れは「取引→記帳→決算→財務諸表」となります。
まずは日々の取引を正しく帳簿に記録することから始まり、決算時には決算整理という工程を経て、適正な財務諸表を作成します。
決算整理では減価償却をはじめ、未収収益、未払費用、前受収益、前払費用などの調整を行い、その事業年度の業績を正確に反映させます。この一連の流れを理解し、自社の取引内容に応じた決算整理項目を把握しておくことで、より精度の高い決算処理が可能になります。