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相続税申告における代償分割という選択肢と注意点

相続税申告における代償分割という選択肢と注意点

遺産分割の方法にもいくつか種類があります。現物分割といって財産をそのまま分ける方法、換価分割といって財産を売却処分してお金に換えてからから分ける方法、さらにもう一つが代償分割です。

代償分割を活用していただくことと、注意点についてお伝えしておきます。

目次

代償分割とは

代償分割とは、例えば相続人のAさんが多く相続する形になってその財産の中からいくらかを相続人BさんやCさんに渡すという分け方です。

例えば預金が全部で50,000,000円あるとします。ひとつの口座で全部の預金があればシンプルですが複数の口座にわたって細かく分かれている場合は分け方を考えるときに一円単位で細かくなる可能性があります。

ひとつずつの口座を分けるのではなく、全部の口座について名義変更や解約をしてAさんに集約した後その財産の中から10,000,000円ずつだったり、20,000,000円ずつをほかの相続人に渡す形をとることができます。

この代償分割のメリットとしては1つずつ細かく計算をしなくても済むことです。

例えば相続人が複数いる場合には、1つの預金口座を5人や6人で分けることをすると、端数が出たりして手続き上も煩雑です。

そうではなく、1人にまず集約して、そこから例えばキリの良い金額で渡すことができるためシンプルに手続き上進めることが可能です。

これについては贈与と考える人も時々いらっしゃるのですが、贈与ではなく遺産分割の中での取り扱いであり相続財産を便宜上このように分けたというだけですので、贈与にはあたりません。

不動産をひとりで相続した際にその分に応じてほかの相続人に代償分割として財産を渡すということもできます。

代償分割は便利なのですが、注意点もいくつかあります

いくつかの注意点

注意点はいくつかありますので、ひとつずつ確認しておきましょう。

財産の限度がある

代償分割の場合、代償(渡すことが)できる財産の金額に限度があります。相続したとする財産を超えて代償分割する、つまり取得遺産を超えて代償金を渡すと超えている部分は贈与とされる可能性があります。

例えば死亡保険金のみを取得する人がいてほかの相続財産がゼロの場合は代償分割をすると贈与税がかかることになります。

死亡保険金は相続人固有の財産という取り扱いであり、相続税の計算のなかでは「みなし相続財産」という位置づけです。そのため遺産分割の対象財産になりません。

取得費加算の計算上不利になるケースがある

もうひとつの注意点が代償分割をして、その後に相続財産を売却して取得費加算を使うときです。

代償分割をしてしまうと、譲渡所得の計算上において取得費加算の金額が不利になるケースもあるため、売却を前提とする場合には注意が必要です。

相続税額が大きいケースや、大きな金額の相続財産を相続後に売却を予定している場合には取得費加算の特例についても考慮しておきたいところです。

代償財産で不動産を渡す場合の譲渡所得税

代償分割の際にはその代償として支払う財産を現預金、つまり金銭で引き渡すことが多いです。

これは相続人に現預金があるケースだとよく選択されることなのですが、金銭に代えてその相続人が不動産を代償財産として引き渡すこともできます。

この場合には、代償による債務を不動産の引き渡しにより解消しているとみなされ、譲渡所得税がかかります。(不動産を引き渡したほうの相続人に)

譲渡所得税のことまでケアできていないと代償分割で想定外の譲渡所得税がかかる可能性があるため、不動産を動かすときにはより注意が必要です。

まとめ

代償分割は公平に財産を分けやすくなる(多く相続したひとから少なく相続したひとへの代償財産の引き渡しによる)ため、比較的利用されている遺産分割の方法のひとつです。

ただし思わぬ課税の対象(贈与税や譲渡所得税)になる可能性もありますので、代償分割の際には相続税のみならずほかの税目等への影響も考慮して遺産分割を検討していただくのがおすすめです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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