確定申告に関して帳簿付けをご自身でしているフリーランスの方からご相談をいただくのが事業主勘定についてです。事業主勘定とはなんなのか、よく見かける勘違いについて書いてみます。
事業主勘定とは
事業主勘定とは事業主貸、事業主借のことです。（じぎょうぬしかし、じぎょうぬしかり、と読みます）
事業主勘定をご自身で帳簿付けしているときに使いこなせていると帳簿付けのレベルとしては安心なレベルだと私は考えています。
残高の確認なども含めてきちんとできている方が多い印象です。
事業主勘定とはいわばプライベートの財布という意味合いで、そういう性質の勘定科目ですのでフリーランスの方にとってはうまく使えると使い勝手がよい科目だと言えます。
たとえば事業用の現金勘定を無くそうと思うと事業主勘定をうまく使う必要がでてきます。
現金の残高がマイナスだったり、大きい金額になっていたり、そもそも事業用の現金を持っていないというかたは使いこなせるようにしましょう。
会計ソフトによってはプライベート資金といった項目で用意されているケースもあります。
プライベートの財布で事業用の経費を支払った場合は以下のようになります。
消耗品費 事業主借 1,650円 文房具 みたいな内容です。
この内容は事業用の消耗品をプライベートのお財布からお金を出して買った、と読み取ることができます。
これが 消耗品費／現金 だと事業用の現金で事業用の消耗品を購入したという意味になるので注意が必要です。特に事業用の現金を用意していない場合はこの処理をし続けると現金の残高がマイナスになります。
反対に売上を現金で受け取るとどういう処理になるかというと
事業主貸 売上 22,000円 〇〇売上 という内容です。
この場合は売上をプライベートの現金もしくは預金口座に振り込まれた、という処理を意味しています。
これが仮に現金勘定を使うと、現金／売上 となって事業用の現金がどんどん膨らんでいくことになります。
場合によっては数百万円になっているケースもあり伺うとそんなに現金はないですと言われますので現金勘定の残高に誤りがあることがわかります。
事業主勘定にまつわるよくある勘違い
事業主勘定についてよくある勘違いをいくつかピックアップしておきます。
事業主勘定はいわばプライベートの財布だとお伝えしました。預金口座と考えてもらってもよいです。
精算をしなくてよいかということを聞かれることがあるのですが、事業経費をプライベートで立て替えしていると捉えると精算という処理がでてきます。
個人事業主である私もプライベートである私も同じ人ではあるので、立て替え精算が必要かというとそうではありません。
立て替えしておきたいのであればそれでもよいですが個人事業主であれば立て替え処理は不要です。
お金の出し入れがあるとそれだけで事業用の口座の記帳が増えることも意味します。
立て替え精算は必要ないですが、生活費と立て替え分とを合わせて毎月末などに生活資金を引き出すのはやっておいてよいでしょう。
事業用口座にある資金はあくまでそのままだと事業用の資金のままです。
生活費などのために引き出すのは問題はありませんから（個人事業主は自分宛てに引き出しても給与にはなりません）必要に応じて引き出しましょう。
この場合の処理でも現金を使うと間違えますので注意してください。
また年度繰り越しをしてあたらしい年度になったときには事業主勘定はゼロからスタートです。
元入金、事業利益と合わせて精算処理がされて繰り越したときにはゼロからスタートとなるのは覚えておきましょう。会計ソフトを使っている場合は基本的に自動でこの処理が入るはずです。
あと、事業主勘定のマイナス残高を気にされる方がいますが、プライベートの財布とのやり取りでマイナス残高になっていることはさほど気にしなくてよいです。
マイナス残高が気持ち悪い、どうしても気になる場合には事業主貸、事業主借の貸借（要は仕訳の右側か左側か）をきちんと処理することで直りますので見直してみましょう。
あえてマイナス残高を直す必要はないので気にならないのであればそのままでも不都合はありません。
まとめ
確定申告時期ですのでフリーランスの方からご質問をいただく機会の多い事業主勘定についてお伝えしました。
うまく使えると帳簿付けの精度があがりますので現金勘定がマイナスや大幅プラスのかたは見直しがてら参考にしてみてください。
