個人事業主から法人に事業を移行する法人成りをするケースで、できればやめておいたほうがいいことを2つお伝えします。
個人名義の口座を使う
法人を設立してそちらで事業を行うわけですので法人名義の口座を用意する必要があります。
法人は別人格なわけですし法人との契約になっていきますので、法人名義の口座がないと事業場は困るケースがでてきます。
一方で個人事業主時代に使っていた口座もあるわけですからそちらを継続して使用することもやろうと思えばできます。
個人事業主時代の銀行口座が完全に事業用ならまだよいのですが、そうではない場合、プライベートの支出が混ざっている場合にはかなり注意が必要です。
個人口座をそのまま法人用で流用する、ということは決算書に記載されることも想定されます。
法人資金として使うわけですのでプライベートの支出があると役員貸付として処理することになり、決算書上も見た目がよくありません。
仮払いだとしても中身としては社長のプライベートの支出を法人口座として使っているところからするわけですので貸付と同じです。
税務調査があると役員貸付金認定であればまだしも、役員賞与とされると損金不算入になり、源泉所得税等への影響が大きいです。
そのため、個人事業主時代に使っていた銀行口座を個人名義のまま法人成り後も使うことはやめておいたほうがよいです。
金融機関で融資を受けている場合も少なくとも良い印象は与えませんので、早急に個人口座の法人での使用はやめておくように手続きしていくのがよいです。
多くが個人口座で法人名義の支払いが残っているとおっしゃられるのですが、それであれば法人名義の口座で支払いをするように手続き変更するべきです。
個人の支出を会社で立て替える
個人名義の口座を法人で使うと役員貸付金が発生しやすいとお伝えしましたが、個人名義のモノを法人で使い続けるとそうなるのはわかりやすいです。
一方で個人の支出を法人側で意図せず行ってしまうケースとしてはクレジットカード絡みがあります。
法人名義のクレジットカードで個人の支出を決済してしまうと、個人的なものの立て替えを法人ですることになります。
これもまた役員貸付金の発生原因となりますので注意が必要です。
口座を分ける、クレジットカードを分ける、こういったことは法人成りをする事業者にとって大事な手続きのひとつです。
きちんと分けれていないと公私混同とみられますし、特に金融機関はこの個人と法人の混在を良い状態とはみません。
融資などで取引がある場合には特に注意したほうがよく、融資の審査に決算書が影響するのはこういう混同という要素もあります。
金融機関からすると貸した資金が役員の個人的な支出に使われるというのは資金使途違反ですし、向こうから見ると「話が違う」わけですね。
役員貸付金が決算書に計上されているとそういう見方をされる可能性があるということは意識しておいたほうがよいです。
まとめ
役員貸付金が計上されている状態を直そうとすると結局は役員が会社にお金を入れる、役員報酬から充当するという形がシンプルかつそれぐらいしか方法がないと言えます。
できれば計上したくない役員貸付金ですから、法人成りした場合にはより意識して個人と法人を分けるようにしましょう。