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漫画家・同人作家のためのたな卸し

漫画家・同人作家のためのたな卸し

漫画家・同人作家のかたでメロンブックスやとらのあな、コミックマーケットなどで作品の冊子を販売する場合にはたな卸しが必要になります。あとは同人フィギュアなどモノを販売する場合も同様です。

たな卸しを具体的に解説しておきます。

目次

たな卸しの仕方

たな卸しは簡単に言うと在庫を取るということです。

例えば印刷した冊子も年末の時点で在庫が残っている場合にはこの在庫分に関しては売れていませんので翌年に繰り越しになります。

個人事業主の場合は事業年度が1月1日から12月31日なので、年末時点の在庫は次の事業年度に繰り越しておかないと利益計算が間違えてしまいます。

印刷費の金額すべてを仕入れとして計上してしまうと会計上は全部売れているとカウントしてしまうわけです。

そのため、在庫を取って売れていないものを来年に繰り越す処理が必要で、この処理のことをたな卸しをすると表現しています。

では具体的にどのようにたな卸しをしておくのがよいか解説します。

以下のように表を作っておくと便利です。

作品金額部数単価繰越分夏コミ冬コミ在庫残
〇〇220,0001,000@220500200100200
✕✕55,000400@137.52001001000
☐☐330,0002,000@1655001000500
△△550,0003,500@157100015001000

いついくらで何冊作成したか、フィギュアであれば何体作ったか、ということをまず把握しておきます。

その後はいつ何冊・何体売れたかをカウントしていくわけです。

それを集計して最終のたな卸し冊数を把握できるとたな卸しとして在庫が管理出来た状態です。それを会計上反映することになります。

例でいうと〇〇作品は在庫200が残ったので200×@220=44,000円の在庫金額、同様に☐☐作品は500×@165=82,500円、△△作品は157,000円となります。合計で283,500円の期末在庫の金額です。

たな卸しできたら

たな卸しができたら今度は会計上の処理が必要です。

仕入れの内容として印刷や制作費用を計上しておいてそこから在庫の金額を差し引くことになります。

具体的には以下のようになります。

①間違っている処理としての典型例

今期は☐☐作品と△△作品の2つを印刷にかけましたので印刷費としては合計で880,000円です。この金額を全額仕入に計上して在庫を計算しないと全部が売れたことを意味します。実際には在庫があったので間違っている状態です。

②正しい処理

印刷した分は代わりがありませんので仕入金額は880,000円です。ここは前段と変わりありません。変わるのは期首の在庫=前年から繰り越してきた分と、期末の在庫=翌年に繰り越す分です。

①期首の在庫137,500円
②当期の仕入れ880,000円
③期末の在庫283,500円

実際に今期に売れた分を計算するときには。①+②-③で計算をします。734,000円が今期に売れた分に対する原価の金額です。

この状態で売上原価と呼ばれる実際に売れたものにかかった費用を計算することができます。

冊子やフィギュアなどを販売している同人作家のかたは税務調査時において特に重点的にチェックされるポイントなので漏らさないようにしておきましょう。

普段の会計処理や帳簿付けとは異なり、決算のときに行うこのような処理を決算整理といいます。

法人事業者でも行われていることでスーパーやコンビニなどでもときどき見かけると思いますが、あれは在庫を取る作業を営業時間内に行っているのです。

まとめ

電子書籍の良さは印税率の高さもそうですし、もうひとつ在庫の考えがないというのも良さのひとつです。紙モノを印刷したり、フィギュアを作ったりとモノがある場合には基本的に在庫管理が必要で、利益計算に大きく影響しますので注意して処理をしましょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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