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家族とのお金のやり取りの取り扱い

家族とのお金のやり取りの取り扱い

相続税の申告時には亡くなった方の財産、特に預金口座のお金の動きをチェックします。この場合に何を見ているかというと親族への贈与がないか、名義預金がないか、ほかの財産への化体、購入などがないかをみています。

事前のご相談で相続対策を検討する際にも贈与かどうか心配と言われることがあり、親族とのお金のやり取りは相続税申告がある場合は特に気がかりな点です。

家族とお金のやり取りがあったときに贈与か貸し借りかは大きな違いですのでポイントを整理してみます。

目次

お金のやりとりそのもの

家族とのお金のやり取りはよくあるものです。そのこと自体は問題ないですがどういった認識でのお金のやり取りかは認識を一致させておきたいところです。

贈与のつもりなのか返してもらうつもりなのか。贈与といっても生活費としてのお金なのかそれ以外でのお金なのか。

お互いに認識の違いがあると事実認定で問題になりがちです。

お金を渡した親からすると生活費として渡していたとしても、受け取ったほうでは生活費は自分の稼ぎでまかなえているので貯金に回していた、ということだとどうでしょうか。

生活資金の融通、つまり贈与は贈与税の非課税とされています。

(相続税法第二十一条の三の四)贈与税の非課税財産

扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの

(国税庁のホームページより)

夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの

ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、治療費、養育費その他子育てに関する費用などを含みます。また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。

なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。

生活費として受け取った子がそれを実際に生活費として使用している場合には非課税と考えられますが、貯金に回している場合には生活費として使っていないと言えます。よって非課税の贈与ではなくて通常の贈与と判断される可能性が高まります。

貸付のつもりでお金を渡していたけど実際に贈与だった、贈与のつもりだったけど貸付だった、などお金のやり取りは渡し手と受け手の認識でも違ってきますので注意が必要なのです。

通常の贈与の場合であれば生前贈与ですので生前贈与加算の対象となることで相続税への影響がありますし、贈与税申告と納税ができていないとそちらの対応も追加となります。

贈与そのものだけではなく相続にも影響するということは頭の片隅に置いておいたほうがよいです。

贈与か貸付か

贈与になるか貸付になるか、というのを具体的に税務上の判断をするときのポイントとして考慮される点を整理しておきます。

親族間ですので借用書や利息のやり取りなどはないことがほとんどです。あってもよいですが特に借用書はあると貸付だった、という説明材料にはなり得ます。

ただし貸付だったと説明する材料として最も説得力があるのは返済の予定と返済の実績です。

例えば親からお金を貸してもらったと主張するにしても、返済期間が親が120歳になる計画だと現実味がないですよね。

ほんとに返済するつもりだったのかと疑われる可能性があります。そもそもそんな返済期間なら返すつもりもなかったんじゃないの?と。

もうひとつが返済の実績です。

お金を借りて返すというのは親族間だとなぁなぁになりやすい部分ではあります。

きちんと返済期間を決めてそれに基づいて返済しているかどうかを説明できるようにしておきたいです。

返済の実績がなければこれもまた本当に返すつもりがあったのか、と疑われることになりかねません。

第三者とのお金の貸し借りであればやっているであろうことをきちんと親族間のお金の貸し借りでもやっておくのがやはり望ましいです。

そうでなければ贈与なのでは?と特に相続税の税務調査があったときに問題になります。

まとめ

あとで説明できるように、とよくお伝えするのですが「あとで」は税務調査があったとき(特に相続税)で、「説明できるように」は税務調査で調査官に対して、という意味合いが大きいです。

金額の大きい小さいも気にされる方がいますが、その家々で生活に必要な金額というのは違います。そことの齟齬がないようにはしておきたいです。

もし相続税がかかることが見込まれる資産規模の場合には親族間、親子間、家族間でのお金のやり取りについては一度整理しておくことをおすすめします。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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