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個人版事業承継税制の注意点

個人版事業承継税制の注意点

法人版の事業承継税制は少し前にアイドルグループ運営会社の亡くなった代表者が適用していたことで注目を浴びました。

実は個人版の事業承継税制もあるのですがこちらの注意点をお伝えします。

目次

個人版事業承継税制の概要

個人版の事業承継税制ということですので、適用できるのは事業をしている個人となります。

青色申告などの要件もありますが、個人事業での資産について適用できる、というざっくりとした理解でまずは大丈夫です。

適用できる資産としては、土地(借地権含む)、建物、減価償却資産です。

これらについて事業をしている人、事業を引き継ぐ人、それぞれの適用の要件を満たして相続または贈与をした場合に適用ができます。

あくまで納税の猶予が先で、後継者の死亡等があった時に免除される、というのが基本です。

納税が猶予されている間に要件を満たさなくなった場合には延滞税などと一緒に本来納めるべきだった贈与税・相続税を納めるというのは法人版の事業承継税制と同じになります。

承継計画を作る、都道府県に提出して認定を受ける、納税申告・担保提供をする、3年に一度状況報告をする、という流れです。

法人版の事業承継税制と同じく適用にあたってはかなり手間と時間がかかります。

法人版の事業承継税制ではいわゆる非上場株式の贈与や相続となりますが、これについては小規模宅地のような土地に関する特例のような相続税計算上の特例はありません。

後段でお伝えする注意点でも触れていますが適用対象財産が違うことと、土地については小規模宅地の特例との選択適用になるため個人版事業承継税制の適用の手間と比べてもそれほど税金計算上のメリットがでない、というのは言えます。

注意点

注意点がいくつかあるのでお伝えしておきます。

ひとつめが適用の期限があることです。事業承継計画の提出と実際の資産の承継のいずれも期限設定があるのでそこに間に合わせる必要があります。

この制度を受けたいと思っていてもまだタイミングじゃない(後継者の年齢等)という場合には無理をしないほうがよいです。

ふたつめが小規模宅地の特例との選択適用になるということ。

個人版の事業承継税制の対象となる土地であれば小規模宅地の特例の特定事業用宅地に該当する可能性が高いです。

この場合、両方を選択することはできずいずれかのみとなります。

個人版の事業承継税制の場合は後継者が恩恵を受けることができますが、小規模宅地の特例の場合は相続財産全体への影響のため相続人全員の相続税に影響を受けることができます。

そのため、個人版事業承継税制を受ける後継者とその他の相続人との間に意見の衝突が発生する可能性を考慮しておくべきです。

この辺りのケアをおこたると揉め事のある相続になりかねません。

個人版の事業承継税制は資産の承継後も事業を継続することになり、その資産の所有も継続が必要となります。

まとめ

個人版事業承継税制を選択すると適用対象となったその土地の用途が事業用にロックされるともいえる状況ですし、後継者の事業をもロックします。

担保提供が必要などほかの要件も小規模宅地の特例とはまた違った厳しい要件となっていますので適用するかどうかは本当によく検討したほうがよいです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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