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漫画家・同人作家の消費税の経理処理等のおさらい

漫画家・同人作家の消費税の経理処理等のおさらい

漫画家・同人作家のかたでインボイス制度が始まったことで消費税の申告納税がスタートした、元々申告していたけれどいま一度確認しておきたいというお声をいただくことがありますのでおさらいとして整理しておきます。

漫画家・同人作家で個人事業主のかた向けの内容という前提です。

目次

消費税の申告方法

消費税の申告が必要な方をまずは整理しておきます。

申告して納税が必要な方の基本は2年前の売上が1,000万円(消費税込の金額)を超えているかどうかです。

今年の納税義務判定は2024年の2年前ですから2022年の売上で判定するという形ですね。

  • 2020年:800万円→2022年は消費税の申告納税義務なし
  • 2021年:1500万円→2023年は消費税の申告納税義務あり
  • 2022年:2000万円→2024年は消費税の申告納税義務あり

といった形で判定していきます。

売上高は基本的に消費税部分込みの金額で判定をしますが、申告納税義務がある年については税抜金額で判定です。10%の消費税区分だと考えられますので、売上金額に100/110をして税抜処理をして上記の判定を確認します。

2年前の売上とは別にインボイス登録をしたという場合には強制的に消費税の申告納税義務が発生します。

インボイス登録をした場合には売上が多い少ないにかかわらず申告納税義務ありです。

その代わり緩和措置として2割特例という計算方法がありますがそれはこの後で解説をします。

消費税の申告納税義務については、

・2年前の売上が1000万円超えているかどうか

・インボイス登録の有無

で判定です。ここをまずはおさえておきましょう。海外で作品を販売して売上がある場合は輸出免税の対象となったりしますのでその際は税理士に相談しましょう。まずは基本が大事です。

申告方法は3種類

消費税の申告は現在3種類方法があります。

原則課税方式:売上と一緒に受け取った消費税-仕入・経費で一緒に支払った消費税で計算

簡易課税方式:売上と一緒に受け取った消費税に業種に応じた割合を乗じて計算

2割特例方式:売上と一緒に受け取った消費税の2割で計算

の3つです。

届け出等していなければ基本は原則課税方式ですが、漫画家・同人作家のかたに限って言うと経費が少ないことが多いので簡易課税方式が有利になるケースが多いです。

簡易課税方式は2年前の売上が5000万円以下であることと届け出をして選択していることが要件となります。

原則的にこの届け出は簡易課税方式で計算をしようとする事業年度の前年中に提出する必要があり、例えば2024年に簡易課税方式を選択する場合には2023年中に選択届け出をする、といったスケジュールです。

インボイス制度が始まって届け出の特例もありますが原則をまずはおさえておきましょう。

インボイス制度開始後に2割特例という計算の仕方ができました。対象となる人はインボイス登録により課税事業者になったかたです。(インボイス登録に関わらず課税事業者のかたは対象外)

2割特例に関しては届け出等は不要ですが申告書にチェックをつけておく必要があり自発的な処理が必要ですので適用可能な方は漏れがないように注意しましょう。

経理処理

消費税の申告納税があるとしてでは経理処理についても確認しておきましょう。

申告納税方式に関わらず帳簿をつけるときには税込もしくは税抜で処理をします。申告納税方式に関係しないというのはおさえておくとよいです。勘違いが多いポイントです。

税込経理の場合は消費税部分を含めた内容での帳簿付けになり、税抜経理の場合はいわゆる本体価格と消費税部分とを別に分けた内容での帳簿付けになります。

漫画家・同人作家の方は税込経理の方が多いと考えられますのでここでは税込経理についてお伝えします。

売上については消費税や源泉所得税も含めた金額が収入金額です。

振込金額ではないということに注意が必要で、源泉所得税が天引きされている場合には振込金額+源泉所得税の金額が売上ということです。

仕入や経費に関しては請求書などの金額が計上金額になります。

申告書を作成して納税金額が分かったときにどう経理処理をするかですが、2024年を例に整理しておきます。

2024年分の消費税の申告は2025年に行います。年明けに確定申告をするというのは所得税と同じくです。

2025年に申告納税をするのですが消費税そのものは2024年分の事業にかかるものですので、2024年分として計上するか、もしくは支払った2025年に計上するかのいずれかを取ることになります。

2024年分の経費(租税公課)とする場合は、租税公課/未払消費税といった内容で入力をして、支払ったときに未払消費税/現預金とします。

2025年分の経費とする場合には租税公課/現預金という処理です。

個人事業税については経費になることを意識している、知っているかたもいらっしゃいますが税込経理の場合の消費税の経理について漏れているケースを散見します。

消費税も税込経理の場合は経費計上できる、ということを忘れないようにしておきましょう。

消費税の申告納税があって未払計上(例で言うと2024年分の経費に計上)する場合には申告書等の作成手順は消費税の申告→所得税の申告(未払計上により所得金額が変わるため)となることは意識しておいてください。

まとめ

インボイス制度が始まってより消費税の申告納税について気に掛ける場面が増えてきたように感じますし、お問い合わせもやはり多いです。

申告納税義務の有無、申告方法、経理処理この3つを再確認しておくことをおすすめします。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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