税務調査を見据えるかどうかで経費の使い方や考え方も変わってきます。特に税務調査未経験の事業者のかたはストーリーがあるかという視点でチェックしてみてください。
その支払いにストーリーはある?
例えばこんな支払いはどうでしょうか。
父親に非常勤役員になってもらい役員報酬を払う。ただし父親の仕事内容としては、代表者の車移動の際の送り迎え程度で月に1~2回ぐらいの稼働。
そして非常勤役員である父は代表者である子の事業の内容を詳しく知らない。役員報酬は30万円/月額と。
こういったことは実際にあり得ます。嘘かと思うかもしれませんが。
普通に考えたらおかしいところはありますよね。
業務内容に対して役員報酬が高くないか?とか、事業の内容をわからないのに役員になっているとか。
非常勤役員なら何でもできると思っていたりそういうアドバイスをする士業がいるのも事実です。
他人がそれをやっているのを見て変だなと思うかどうかは結構大事だったりします。
ほかにも仕事でほとんど車を使わない、個人事業主のプライベート利用が大半にもかかわらず車にかかる支出を大きな割合で経費にしているとか。
事業の内容的に車の必要性が高くない場合には要注意です。そもそも仕事に車がいりますか?となりますので。
こういった形で事業に必要かどうか、その支出でどういった事業にかかわるのか、という視点を飛ばして経費にすると税務調査で指摘されてしどろもどろになります。
事業との関連性を説明できるかどうか
事業との関連性をいかに説明できるか。この説明の部分がストーリーとも言えます。
原価や在庫のあるビジネスでそういった売上に直接関連しているものについてはストーリーは事業そのものなので問題になることは少ないです。
在庫という意味では棚卸については税務調査でチェックされますがそれは在庫漏れとかそういう話なのでストーリー性が問題になっているわけではありません。
そういった売上に直接関係しない支払いは特にストーリーが必要になってきます。
説明できないと直ちに経費じゃないかというと税務調査では必ずしもそうではないですが聞かれたときに説明できないとほかにもあるのでは?あやしい、となりかねません。
車に関する支出が経費になっているなら営む事業とどれくらい関連があるのか、説明できないとそもそもおかしいと言えます。
役員報酬についても事業との関連やかかわり方、仕事内容と見合っているかどうかというのもやはり必要になってくるでしょう。
法人でも個人でも「それプライベートでも支払するよね」というものに関しては特に注意が必要です。
プライベートと事業との境目があいまいな支出についてはツッコミどころになり得ます。
最近だと社長がひとりで飲食店利用した支出を交際費として処理していたものが、裁判で否認されるケースがあります。
衣食住に関する支出はチェックが厳しいと思っておいたほうがよいです。
着るもの、食べるもの、住むところは仕事をしているしていないにかかわらず日々の生活でも支出するものだからです。
まとめ
経費とするのは簡単といえば簡単です。レシートや支払の内容を帳簿に付ければいいだけですから。
大事なのはそれが経費かどうかを自分で判断しているかということです。
何でもかんでも経費にしてはいけませんし、何でもかんでも経費から外してもそれはそれで正しい利益計算になりません。
線引き、ルールを作ること、ストーリーがあるかはいま一度確認してみましょう。