相続対策において不動産をどう処分するかというのがカギになることが多いです。誰も使っていない不動産だと余計にそうなります。相続対策の鍵を握る不動産の処分についてお伝えしておきます。
どういう不動産が処分要検討か
不動産にもいろいろな種類があります。自分で使っているものであったり、貸しているものであったり、何も使っていないというケースもあるでしょう。
1番わかりやすいのは自分が使っている不動産です。自用地、自用家屋と呼ばれたりしますが、そこに同居している人がいればその人が相続することが1番自然な流れではあります。
空き家になるリスクも低いですね。また税金計算上も小規模宅地の特例の適用を考えやすいです。
続いて貸している不動産についても、収益をうむという意味で相続をしやすいという面はあります。借りている人がいるわけですので。
もちろん修繕費や固定資産税など必要なものはありますが、それ以上に収益が多いケースが多いため不動産の賃料を収受できるという点で分け方を決める際にはそこを軸に分け方を考えることができます。
貸している不動産についても貸付事業を継続している場合には、小規模宅地の特例を適用することができるため、無理に処分する事はないでしょう。
いちばん分け方に問題が生じるのは何にも使っておらず、つまり空き家の状態になっている不動産です。空き家になっている不動産もしくは誰も住むことがなくなる空き家になりそうな不動産については処分を検討しておく方が良いです。
亡くなった後の不動産のことを考えておく
例えば亡くなるであろう人がご自身が住むための不動産を持っていて、相続人が同居しておらず、相続人は別で生活の本拠、いわゆる自分もしくは配偶者等と一緒に住んでいるようなケースでは、実家に帰るということが実際難しいことが多いです。
そうなると亡くなったらすぐに空き家になるということが考えられます。
空き家の状態が長く続くと建物も朽ちていきますし、そうはいっても税金や火災保険などもかかるので支出だけがずっと続く状態です。
朽ちていくと貸しに出したりするにもリフォームなどで費用が必要になっていきます。
こういった場合には、もし仮になくなるであろう財産を残す人が介護のために施設に入るという場合には、ご本人が生前お元気なうちに不動産を売却しておくと空き家にならずに済みます。
譲渡所得税の計算上は居住用の3,000万円特別控除を使って申告をすることができると所得税の計算上に関しては有利です。
相続空き家の譲渡特例も似た特例としてありますが、建物の要件だったり取り壊しが必要なケースがあること、譲渡価格の制限やマンションについては適用外など、生前にご本人が売却して申告する以上に適用のハードルが高いのが実際のところです。
一方で、不動産の状態のほうが相続税計算上は有利になることが多いのですが売却ができず、中ぶらりんのままの空き家を相続するよりも、現預金で相続したほうが多少相続税は高くなってもその方が助かるという相続人は多いです。
不動産が値上がりすることが見込まれるものであればもちろん良いのですが、すべての不動産がそういうわけにもいかず、空き家になったらそのままというケースは実際問題としてあります。
空き家に関するデータでも空き家になった理由として相続によるものが上位になっています。
そのため、施設に入るなどもし決まっていることがあるのであれば、それを見越して不動産を売却しておくというのは相続人も安心です
空き家になってしまうとどんどん価値も落ちていきますので、売ろうにも売れずということは可能性としてはあります。
相続後に空き家になることが間違いないという場合には、なるべく早く処分の方向を考えておいた方がやはり望ましいです。
2024年4月から相続登記の義務化がされるにあたり、相続をしたら不動産を登記する必要が出てきます。
そのため宙ぶらりんのまま置いとくと後々問題になるケースも多いため、相続の時に改めて対策を考えておくというのが大事です。
もし空き家になることが確実ということであれば、実家ということを感情的に考えると処分しづらくなってしまうので、どこで線引きするか確認しておいた方が良いでしょう。
まとめ
相続後に不動産が実家も含めてですが空き家になるケースは増えてきています。介護施設に入居していたり、相続人が実家とは離れて別で生活の本拠がある場合には実家に戻るというのも難しい状況があるからです。
空き家になりそう、空き家になっている場合には売却処分を含めてご家族でよく相談しておくのがよいでしょう。