特定空家、というワードを聞いたことがあるでしょうか。2023年12月に施行された改正空家対策特別措置法で、特定空き家にならないための対策を進めましょうという方向になっています。
改正空家対策特別措置法(以下、改正空き家対策法)について概要を整理しておきます。
空き家が増えてきた背景
空き家が増えているそうです、それも爆発的に。国土交通省の資料によるとこの20年で1.9倍に空き家が増えていると。
今後も増える見込みだそうです。
管理が行き届いていればよいですが必ずしもそうではなく、また日本人の新築信仰というか家を買うなら新築、という意識は今でも根強いと考えられます。
空き家が増えてきた背景としてはもう一つあり、それが相続です。
相続してきた実家、誰も住まないけど処分に困るし思い出もたくさん詰まっているからとりあえず置いておこう。
こう考えると誰も住まない空き家のできあがりです。
人が住まなくなった家というのは驚くほど朽ちていくのが早いといいます。こうした空家を減らすべく法律で手当てしようというのが今回の改正の趣旨です。
相続→管理不全→特定空き家にならないために
相続してきた実家が空き家になるとどうなるかというと、遠方の場合はときどき見に行くぐらいの感じになるでしょう。
管理が行き届かず不全、つまりほったらかしに近い状態になります。
その状態が続くとあちこちが朽ちて、結局人が住めなくなる、修繕費が多額にかかる状態に比較的すぐなります。
このままだとキケンな状態の空き家を特定空家と指定して、何か対策をしてくださいよというアプローチが行政から指導の指導です。
特定空家になると固定資産税への影響があります。
もともと人が住んでいる居住用の家屋がある土地については居住用だからという理由で固定資産税が優遇されています。
それが特定空家になると優遇されなくなると。
結果的には固定資産税が6倍になる、家が建っていないものとして土地の固定資産税を課税することができるようになるわけです。
そうでなくても空家の状態なわけですから何かに活用して賃料が得られているとかもなく、ただ税金と火災保険料がかかっているのに、固定資産税が増えるとなれば何かしら対策が必要と感じるでしょう。
そうならないためにも管理不全の状態でいかに手を打てるかが非常に重要になってきます。
特定空家になってしまうと修繕するよりも壊したほうがコストが抑えられるみたいなケースは出てくるでしょうし、物価高で建築資材は高止まりしています。
誰も住まない実家を相続したら出来ることを考えて行政などのサポートを受けながら対策していくのが望ましいです。
特定空家になる前にできること
特定空家になる前にできることもいくつかあります。まずは誰かに貸せないか、修繕なども比較的軽く済む状態のことが多いでしょうから少しお金をかけて人に貸す。
これができると有効活用になるでしょう。居住用ではなくてもいいんです、事業用として貸付てもいいでしょう。
京町屋などでは事業用として貸し出す動きがあり、居住するにはちょっと不便なところがあるけれど事業用なら問題ないみたいなことがあります。
わたしももしいい物件があれば税理士事務所として借りるのもありじゃないかなと思っているぐらいです。
貸せそうになければ除却といって取り壊して売却する、というのも選択肢です。
使いみちがなさそうな建物があるだけでその不動産の売却が困難になるケースというのはやはりあるそうなので、有効活用が難しいという判断になったときには取り壊してもしくは残したまま売却というのもあり得るでしょう。
除却や売却するのか、有効活用するのかの判断は難しいものですが専門家に依頼することもできます。フィージビリティスタディというそうです。
これに対する補助などもっ国や市区町村から出ることがあるようですので空家活用の市区町村窓口や団体などに相談してみることもお勧めです。
まとめ
法律が改正されてより空家に対するアクションが取りやすく整備されつつあります。ほったらかしで何かが改善する、いい方向に向かうということは不動産に関しては少ないと考えれます。
相続したそのときからその空家をどうするか、考えて行動していきましょう。