経理のかたにとってインボイス制度の開始は業務量が増えることを意味していて、実際に対応に追われている現場を目にすることがあります。
消費税が原則課税の場合の請求書等のチェックの流れを整理しておきましょう。
適格請求書かどうかの判定の前に
インボイス制度のことが頭に入っている気になっている状態だと、請求書をみたときにまず適格非適格を判定したくなります。
気持ちはわかりますが、取引は課否判定フローチャートがありますのでそれに沿って判断していくのが安全です。
受け取った請求書が適格請求書じゃないのでいきなり消費税10%(80%控除)対象とするのは非常にリスキーです。
消費税の課税取引かどうかの判定の前に、不課税、非課税、免税の判定があってこの順番で判定して初めて、課税の順に判定していきます。
大まかな判定ステップをピックアップすると
- 全ての取引について
- ①資産の譲渡等ステップ
- ②内外判定ステップ
- ③非課税判定ステップ
- ④課税免税判定ステップ
- ⑤適格非適格判定ステップ
となります。
もらった請求書をいきなりインボイスとして適格か非適格かではなく、順を追って判定することが大事です。
順番を飛ばしてしまうと例えば印紙の購入の領収書をインボイス番号がないからといって、課税10%(80%控除)で処理をしてしまいます。印紙を郵便局で購入した場合には非課税です。
全く処理が異なりますので注意しましょう。
適格請求書かどうかの判定はその取引が課税取引だということが判明して初めて行うことになります。ここを混同すると消費税区分の間違いのもとです。ひいては消費税の納税金額を間違えます。
適格請求書かどうかの判定
不課税、非課税、免税、課税の順で課税区分を確認したらそこで初めて領収書や請求書が適格か非適格かを判定していく流れです。
適格請求書かどうかの判定に必要な情報は
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等※
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
※⑤の「税率ごとに区分した消費税額等」の端数処理は、一の適格請求書につき、税率ごとに1回ずつとなります。
インボイス制度開始前の区分記載請求書に追加される項目は①の登録番号と④の適用税率、⑤の税率ごとに区分した消費税額等の3点です。
適格請求書かどうかを判断する際のフローですが各事業者や税理士によってアドバイス内容が違っています。
もちろん全ての領収書、請求書について都度でインボイスとして適格かをチェックするのが本来ですが実務的には以下のような対応を取っていくことも考えられます。
主要取引先で規模がそれなりにあるところは一度確認したら以後は確認しない
登録番号が書いてあれば以後は確認しない
明らかに適格請求書発行事業者であれば以後は確認しない
新規取引先に限り契約時に確認する
など
税務調査の現場でも消費税のインボイスに関しては枝葉末節は確認しないという方針のようですので各事業者でどこまで確認するかのフローは考えて運用していくのがよいでしょう。
あまりにも粗いチェックにならないようにはしておきたいところですが。
あとは手書きの領収書は特に適格(簡易)請求書の様式を満たしていないケースが散見されますので、従業員も含めて手書きの領収書の発行を受けないというのはルールとしておくのがおすすめではあります。
レシートで内容としては十分というケースは多いですからそういうことも手書きの領収書をよく持ってくる営業担当などには周知して協力してもらうのが望ましいです。
まとめ
課税区分判定をして課税取引に該当しているものについてさらにインボイス適格非適格の判定をする、という流れを抑えておきましょう。
この順番をまちがえると消費税の判定区分を間違えていってしまいますので注意が必要です。どこまでチェックをするか、という点も経理部や社内で統一しておくのがおすすめです。