司法書士の先生ご自身の確定申告のご相談をいただくことがあります。開業当初だとやはり経理処理、帳簿の付け方がわからない部分があるようです。
司法書士のかた向けに特有の内容を整理しておきます。
登録免許税の経理上の取り扱い
司法書士の業務として登記がありますが、登記に際しては登録免許税の支払いが伴います。
この処理に迷う方が多いようです、前受している場合とあとで収受する場合と分けて整理をしておきましょう。
大前提として登録免許税部分は司法書士の売上ではないのでその点はおさえておきましょう。結局は法務局に支払うもので司法書士には残りません。
司法書士の売上としては手続き報酬となります。
登録免許税の金額が多く事前に免許税の部分だけでも預かっておくことがあるかと思います。つまり前受けですね。
この場合は預り金として処理をします。補助科目が設定できる場合には事案ごとに補助をつけておくと安心です。
もっというと預金口座は預りの部分は分けておいた方が無難です。
弁護士事務所でもそうなのですが、クライアントから預りがあるような士業の場合は預り分をキチンと分けれないと帳簿がおかしくなっていきます。
前受けの登録免許税部分は預かっているだけですので文字通り預り金で処理をしておきます。
預かったもの印紙にして納めるわけですから増えたり減ったりはしません。
預り分はそれぞれの案件ごとに名前や番号などを振っておき、残高がきれいになくなることを最終的には確認しておきましょう。
登記が終わっているのに預り金が残っているということはどこかが間違っている可能性が高いです。
前受けの場合は預り金で処理ですが後払いの場合も確認しておきます。
後払いの場合は司法書士事務所で本来は依頼人が支払うべきものを立て替えている状態です。
代わりに支払っているわけですから立替金で計上しておきます。
これがどのタイミングで消し込みできるかというと、報酬等が振り込まれたときです。
報酬と登録免許税等のぶんが一緒に振り込まれるわけですから入力の際には立替金がきれいに消えるようにチェックしておくのがよいです。
預り金と同様に立替金も登記業務が終わったらきれいに残高がゼロになっていないと何かが間違っている可能性はあります。
前受けでも後払いでも登録免許税等の部分は残高としてはなくなるのが正しい処理ですから入力した後に残高を必ずチェックしておきましょう。
相続業務の預り
相続手続きを受任している場合を確認します。
この場合、ひとつずつの口座を解約して振り込みをしてもらう際に口座を指定してもらう必要があります。
通常の業務で使っている預金口座だと出入りが混在するので預り分と事業分でごちゃごちゃになってしまう可能性がありますので注意が必要です。
こういったケースでは遺産整理口という形で預金口座を作っておくのが安全です。
別口管理するということですね。業務用の資金と混ざりませんので管理がしやすいです。
預り口座で行うことも出来るとは思いますが、やはり業務用の口座を使うと業務資金と混同しますし、業務用口座であれば帳簿に記載が必要ですので分けたほうが無難かなと。
相続人のかたへの説明としても分かりやすいと思いますのでもし遺産整理で預金口座の解約手続きもある場合は別口で口座を作成するのがおすすめです。
最終的には遺産整理口座は解約しておきましょう。
まとめ
預りのものは最終的には残高がゼロになっていることの確認は必須です。法務局への登録免許税の支払いは預り分と同額のはずですので。
遺産整理の預りも別口で事業用資金とは混ざらないようにしておいた方がよいです。