相続税申告が必要なことに申告期限後や申告期限直前に気が付かれたりすることがあります。
あわててこちらにご相談があってもとりあえず申告するしかない状態です。
特に都市部に不動産をお持ちであれば一度は相続税申告が必要かどうかは確認しておくことをおすすめしています。
申告は必要だけど納税はないパターンの確認
申告は必要だけれど納税はない、というのが相続税申告においてはあり得ます。
相続税の計算をする際には財産の分け方などによって各種特例が用意されています。配偶者に対するものであったり、同居している相続人に対するものであったり。
こういった特例を受けられない場合には
相続税のかかる財産の総額>相続税の基礎控除(3,000万円+法定相続人の数×600万円)の状態で相続税申告が必要となり、相続税が発生する可能性が高いです。
特例を受けられた場合には相続税のかかる財産の総額(特例適用後)<相続税の基礎控除となり、一見すると相続税申告が必要ではないように感じます。
ここで注意が必要なのが特例を受けるためには相続税申告が必要なパターンが多く、特例を受けるのであれば申告が必要、ただし納税はない、という状態になることです。
相続人は子が2人(片方は同居)
自宅の不動産5,000万円(土地200㎡のみとして試算)
現預金2,000万円
小規模宅地の特例を受けられないと申告必要、納税あり
5,000万円+2,000万円=7,000万円>4,200万円(3000+600×2人)
小規模宅地の特例(居住用300㎡まで80%減)を受けられると申告必要、納税なし
1,000万円+2,000万円=3,000万円<4,200万円
この事例だと財産をうまく分けられると相続税はゼロになり得ます。
納税対策が必要かどうかの確認
相続税申告が必要だとしても納税がないパターンを前段で確認しましたが、申告は必要で納税もある、というパターンも多いです。
この場合どれくらいの相続税の納付になりそうかを事前に確認しておいて準備ができるならやっておいたほうがよいです。
相続税の納付は金銭一時納付といって原則として申告期限(亡くなってから10ヵ月以内)までに金銭で一括納付が基本です。
遺産からでも相続人の財産からでも金銭で納付できるならおカネでまずは納付、これが難しければ延納または物納となります。
亡くなった後の手続きは長いようで短く感じるものです。突然いくらと言われても心の準備ができていないと負担感も強くなるでしょう。
もし可能であれば納税対策を少しでもやっておくとよいです。
贈与なのか死亡保険の加入のなのかは状況次第、考え方次第ですからまずは申告の有無を確認し納税の有無を把握してから納税対策を考えるのがおすすめです。
びっくりしないために
申告期限を過ぎたらすぐに税務署から連絡がくる、というわけではないので余計にですがひょんなことから申告義務があることに気が付きます。
相続手続きで銀行の窓口に行ったときに窓口のかたから申告が必要かもしれませんねと言われたり。
不動産の登記手続きで司法書士さんのところに相談に行ったときに相続税申告をしましたかと言われて、はたと気が付いたり。
こういったことからのご相談というのはやはり一定程度あるものです。
親族が亡くなったことでの精神的な疲労もあるでしょうし、それに重ねての手続きのストレスもあります。
うまくコントロールできるように申告のほうは事前に心の準備をしておくのはいかがでしょうか。
まとめ
おカネの準備もそうですが心の準備をしておくことで軽減されることはありますから、備えあれば憂いなしで一度は申告が必要かどうかは確認しておいた方がいいです。
特に不動産が自宅だけ、でも都市部にあってそれなりの広さがある、相続人が少ない、という場合には申告義務をチェックしてみてください。