税理士に記帳代行を依頼するかたもインボイス制度がはじまると増えるかもしれません。また今は自分でやっていても取引量が増えてきて手に負えなくなったら、お願いしたいと思うかも。
記帳代行を依頼するにしても知っておいてほしいことを整理します。
経費かどうかの判断
記帳代行となるとイメージとしてはレシートや領収書、各種データをお預かりして帳簿入力等をしていく、というのが一般的でしょう。
レシートのなかにプライベートなのか経費なのか分からないものが混じっていることがあります。
そうなるとこの支払は経費なのかプライベートなのか。あきらかにプライベートのものにみえるけれど。となったときにどうなるか。
税理士がいちいち全てのレシートについて経費かどうかの判断を仰ぐことになりとても煩雑になります。
結局プライベートでしたということになると、せっかくの顧問料や記帳代行の費用をプライベートのことで消費してしまっているとも言えます。
こちらで判断がつかないものをレシートとして入れてしまうと、プライベートだとわかっているのに経費に入れ込もうとしているわけですから見る人が見たら脱税では?となります。
そういったことが積み重なると記帳代行を受けるこちらとしても、もう継続は難しいかなとなっていきがちです。
お客様の協力があってこその記帳代行だったり顧問なのですが、そこに寄り掛かられすぎると2者とも倒れてしまいます。
経費かどうかは事業との関係性なわけですので迷っているものについては聞いていただいて問題ないですが、プライベートだと思っているけど経費に入れてもらえないかと思って、というのはやめておいたほうがよいです。
税理士側からすると信頼性を大きく損なうことになります。
経費かどうかの判断は事業主が自分でしていただくように、わたしの事務所でもお願いしております。
個人と法人のやり取り
クレジットカードや預金口座が個人のまま法人成りするケースを見かけます。最初のうちはよいとしても期間が経過するとこういうことが起きます。
この支出は個人のものですか?法人のものですか?
こういったやりとりによって、会社が支払うべきものを社長が立て替えたことによる役員借入金が発生します。
役員借入金はまだよいですが、役員貸付金、つまり社長のプライベートの支出を会社が支払うことによるものが発生すると具合が悪いです。
というのも外部的にも内部的にも公私混同しているものとみなされます。
クレジットカードを使うにしても会社名義のカードでプライベートのモノを購入しているわけですから切り分けができていないことを意味します。
また仮に金融機関から融資を受けている場合には、この会社は法人と個人がごちゃまぜになっていて管理ができていない、お金を貸したら社長のプライベートに流れるのでは、という意識が働きます。
そうなると融資を受ける場面では不利です。
個人のものと法人のものは特に分けられるようにしておくのが望ましいです。
資料やデータの共有
資料やデータの提供があってはじめて入力等ができます。
何も材料がないところから推計課税という方法を取ることもありますが、よほどの事情がある場合のみです。むしろ特殊なケースです。
通常は資料やデータをもとに帳簿を作っていくために必要なものが情報なわけです。
その情報をどこから入手するかというとお客様からの提供ですので、そのためにお互いに協力が必要となります。
遅れるぐらいなら多少なりともよいのですが提供がないのに決算書や申告書、試算表と呼ばれる月次決算の資料は作れません。
スムーズなやりとりや必要な資料をキチンと揃えられるようになるまでは時間を要するかもしれません。
それでもコミュニケーションを重ねていくことでコツをつかんでいくことができ、スピードも上がってくるでしょう。
もしそういうことが苦手であればデータで共有できるようにクラウドシステムを使ったり、データ連携を進めていくのもよいです。
まとめ
記帳代行と言っても今は形を変えてきています。
いろんなかかわり方が税理士ともできますが、記帳代行でも通常の顧問でもコミュニケーション、協力関係をいいものにしていけるように工夫していきましょう。