事業にかかる経費についてご相談というか話になることが確定申告時期は特に多いです。経費かどうかの線引きと合わせて書いてみます。
どういう支出が経費になるか
事業にかかる経費とくくってもその中身はいろいろとあります。
まずはその事業や組織運営のために必要な経費はどういうものか考えてみましょう。
人を雇っている場合には人件費、いわゆる給与や役員報酬、賞与、法定福利費などがあります。ほかには福利厚生費など。人にかかる費用です。これはイメージしやすいかなと思います。
ほかにはテナントを借りているなら賃料や水道光熱費がかかります。
事務所で使う文房具やパソコン、モニターなどは消耗品費または工具器具備品として固定資産として計上し減価償却費の計上で経費となります。
勘定科目はなんでもよいかというといわゆる分類ですのでこの支出はこの勘定科目じゃないとダメと言うことはありません。
ただ、分類ですのである程度見てわかるようには分けておきたいところです。
売上の多い少ないにかかわらず一定かかるものを固定費と表現したりします。反対に売上に応じて増えたり減ったりするものを変動費と呼びます。
例えばモノを仕入れてきてそれを販売する場合には売上と連動しますし、ほかにも原材料などを購入してきて加工して販売するケースなどもそうです。
経費にはいろんな呼び名があるのですが支出という点では同じです。おカネが出ていくことに変わりがありません。
減価償却費だけはおカネが出ていくタイミングと、経費になるタイミングがズレますがそれでも最初におカネが出ていくことは同じです。
もし何かを買うときには、これを買ったら売上が上がるのか、という点を少し考えてみると踏みとどまるかもしれません。
ただ何でもかんでも買わなくていいかというとそういうわけでもないのが事業の面白さでもあり難しさでもあります。
例えば効率化のためのツールを購入するとします。
このツールを購入すると直接売り上げが上がるわけではないですが、効率化されることで自分の時間が増え結果的に営業に回る時間が取れて売上が上がる、という間接的な影響もあるでしょう。
おカネをかけるべきところと、かけなくてもよいであろうところの判別というのは難しいものですが経営者としての仕事でもあります。要は決済なわけです。
フリーランスの方のサポートをしているとよくプライベートじゃないか?と思われる支出があります。
グレーのものも確かにあるのですが、一般の方が考えるグレーと、税理士が考えるグレーと、税務署が考えるグレーは色の濃さが全く異なります。
同じ支出を見ても経費になるかどうかの線引きが違うことはありますので、事業に必要だったという説明ができるようにしたいところです。
経費かどうかの判断は自分次第、事業次第
経費かどうかの判断、線引きは難しいと書きました。
それは個々人で事業が違う部分もありますし、それが事業にかかわるかどうかの判別は自分次第だからです。
私の事務所では漫画家さんをサポートしているのですが私と比べても経費の中身は確かに違います。
例えば漫画を購入することを考えてみます。
私ですと事業に関係がなさそうですが、漫画家さんが漫画を購入することはどうでしょうか?事業に関係しそうに思えます。
事業に関する資料としての漫画なのか自分が楽しむためなのか、漫画一つとっても違ってくるということです。
線引きの仕方は経営者次第です。
ある事業者さんですと経費じゃないものをしっかり定義していて、例えば家族との食事は例え配偶者が役員であったり青色事業専従者であっても会議費や交際費にしない、と決めている方もいらっしゃいます。
経費にしてしまうと自分がぶれると考えておられるそうです。
明らかにプライベートのものを経費として計上してしまうとそれは税金を不正に低くしていることにほかなりません。
一方で、申告の後でこれは経費として計上したいといういわば後出しじゃんけんも難しいです。
経費を増額して修正するということは納めるべき税金が低くなり還付になることが想定されますが、そうなったときに税務署側の調べはより厳しくなります。(税務署側からすると還付する前にしっかり調べることになるからです)
こういった難しさもあります、それはそれぞれの立場、視点で経費を見ているからでもあります。
経費の線引きは時として難しさを伴うものではありますが、しっかりストーリーを説明できる、事業に必要だった、関連していることを後で聞かれたときに説明できるようにしておくのが最もシンプルかつ効果的です。
〇〇だったことにする、などは後付けになりますので疑った目で見られるとほころんでいきます。
最初にある程度ルール決めをして運用していき、ルールもメンテナンスしていくのが望ましいです。
まとめ
事業者、経営者になると経費の線引きの難しさを実感するかと思います。
勤めているときには「会社で落ちるもの」と考えていたかたもなかにはいらっしゃるかもしれません。
独立、起業するとこの辺りの感覚が一気に変わってきます。
良いルール作りをしていくことのサポートもしています。