こんにちは、京都の税理士ジンノです。
インボイス士制度が始まるとしていま免税事業者の方の場合の現実的な対応を考えてみましょう。
免税事業者とは
現行は事業者であっても消費税の免税事業者はいます。
基準期間で消費税が免税となるかどうかを判定することになりますが、その基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば消費税は免税です。
フリーランスを例にして考えます。
フリーランスは個人事業主ですので事業年度は暦年、つまり1月1日から12月31日です。
2021年の年間の売上(消費税を含む)が1,000万円以下なら、2年後の2023年は消費税の免税事業者です。
基準期間は2事業年度前で判断しますので、12月決算の法人の場合も同じとなります。
今年から事業を始めたフリーランスで今年の課税売上が1,000万円を超えている場合には
2021年 消費税の免税事業者(2019年の課税売上高はないため)
2022年 消費税の免税事業者(2020年の課税売上高はないため)
2023年 消費税の課税事業者(2021年の課税売上高1,000万円超のため)
2023年分の消費税は翌2024年の確定申告の時に申告納税をします。
消費税の免税事業者が設定されているのは事務負担を避けるためといわれていますが、消費税も課税が始まって30年以上たちますので状況は変わってきました。
インボイス制度が始まることで消費税の課税事業者を選択する人が増えると考えられています。
仕事の相手方が消費税の課税事業者かどうかでこちらが支払った消費税が引けるかどうかが変わる、というのが先日のブログ記事でした。
この状況で、仕事の発注者から消費税の課税事業者じゃないところとは取引をしないと通知されたら消費税を納める事業者にならざるを得ないかもしれません。
現実的な対応
いま現在、消費税の免税事業者として事業を行っているフリーランスが現実的にとるべき対応を考えてみましょう。
いま消費税の免税事業者だけど今年の課税売上が1,000万円を超える場合には、2年後から消費税の課税事業者です。
インボイス制度が始まる予定の2023年10月の時点では適格請求書を発行することになります。
よって消費税の課税事業者届出書(消費税の課税事業者になりました、という届け出)とインボイス登録番号の申請をしておきましょう。
あとは消費税の計算を簡易課税方式で行うかどうかを決めて忘れずに簡易課税選択の届け出をすることです。
現実的にはフリーランスで簡易課税を外れることは多くないと考えられます(課税売上高が5,000万円をこえる)ので、簡易課税方式を選択することになるのかなと。
いま現在すでに消費税の課税事業者で売上の状況に変わりがなさそうなフリーランスのかたは(その見通しが難しい場合もあるでしょうが)、すでに課税事業者ですのでインボイス登録番号の申請を忘れずにしておきましょう。
現状で消費税の課税事業者のフリーランスの場合、法人を設立するとまた違った流れになりますのでその点を含めて法人成りを税理士に相談してみるのも一つです。(消費税の免税の期間を活用するため)
2023年10月1日からスタートする予定のインボイス制度においてその日からインボイス登録番号を記載した適格請求書を発行するためには、2023年3月31日までにその申請をしておく必要があります。
これを忘れないようにしておきましょう。
様子を見るのもあり
ではいまは免税事業者だけれども状況が見通せない、自主的に課税事業者を選ぶかどうか決めかねている、という方はどうすればいいでしょうか。
そういう方は前向きに様子を見ておくのもひとつです。
ただし期限があるものですのでそれを忘れずに、情報を集めつつ様子をみてはいかがでしょうか。
消費税が10%になるときは2度延長されました。延長される、延長されない、というのは現時点でも誰にもわかりません。
またご自身の状況も変わる可能性もあるでしょう。
仕事の仕方や売上の内容もそうですし、フリーランスから勤めに戻ることもあるかもしれません。
まだ時間があるので慌てて何かをする必要はないかと考えています。様子を見て判断する材料を集めていきましょう。
まとめ
インボイス制度は仕事の受注者側の対応もそうですし、発注者側の対応も負担が大きくなりそうです。
どう対応していくのがいいのか、期限を忘れて届出等に支障がないように気を付けながら様子を見るのも選択肢ではないでしょうか。
すでに課税事業者の場合にも粛々と申請及び対応を進めていくことが必要です。