こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
会計ソフトで自分で入力をして帳簿付けをして決算から確定申告までをしているフリーランスの方の場合、自分でチェックすることが多いかと思います。
入力のしかたが分かっていてもチェックのしかたがわからなければ合っているのか間違っているのかの判断がつきません。入力が終わったらチェックする習慣を身に着けましょう。
貸借対照表のチェックから
事業所得で申告をする場合には決算書が必要になりますが、決算書を構成する帳簿のひとつが貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう、B/Sとも呼ばれます)です。
貸借対照表は期末時点の資産や負債の金額を明らかにしますが個人の事業所得の場合と、法人の決算書では少し項目が違ったり記載の内容が異なります。
フリーランスの場合には、期首と期末の残高を記載する箇所があり、事業主借や事業主貸といった事業主勘定、元入金などの項目があります。
ただ、目的としては同じで期末時点の残高を示すというのが目的です。
会計ソフトで入力をする際には、残高試算表や試算表、レポートなどと言った表記がなされている箇所がありますのでそこを選択するとみることができます。
貸借対照表と損益計算書は決算書を構成する帳簿書類で申告書を作成する際にも必要です。
まずはこの貸借対照表のチェックから解説をします。
消し込みができているか
消し込みができていない項目がないかどうかをチェックします。
例えば売掛金の残高を見たときに、キチンと消し込みができているかどうかを見ていきます。
売上を計上した時には掛売上の場合には売掛金の残高が増え、その売掛金が入金されたときには残高が減ります。
この増えたり減ったりをきちんと処理できていれば売掛金の残高は未入金のものが複数残っている状態です。
どのように異常値が出てくるかというとひとつは売上の請求金額=売掛金の金額と、入金された金額が異なる場合があります。
1万円の掛売上を計上した場合
(売掛金)/(売上) 10,000 〇✕工業
その売掛金が入金になった場合
(普通預金)/(売掛金)10,000 売掛金入金
となります。この状態であれば売掛金の増減の金額は同じなので消し込みができている状態です。
この売掛金入金が買い手(取引先)が振り込む際に手数料を差し引いて振り込みされることがあります。
この場合そのまま入金額を売掛金としてしまうとズレが生じます。
(普通預金)/(売掛金)9,450 売掛金入金
売掛金の左右が550円合いません。
こういったズレを修正しないと売掛金が残ってしまうことになりますし、振込手数料について把握できず経費計上もできないままです。
売掛金がちゃんと消えているか、消し込みできているかはチェック項目に入れておきましょう。
マイナス残高がないか
同じ項目として売掛金で考えると、売上を計上していないに入金があったときに売掛金として処理をした場合はどうなるでしょうか。
(普通預金)/(売掛金)10,000円 売掛金入金
となったら売掛金がそもそも入金されていないのでマイナスになってしまいます。
貸借対照表は資産負債を表す帳票ですがマイナス残高は基本的に出てきません。
これは売掛金に限らず、例えば現金や普通預金もそうですし、借入金や未払金もマイナスの残高にはなりません。
つまり試算表、決算書を見たときにマイナスの残高があると「何かが間違っている」状態を指します。
間違っている状態なのですから何がどう間違っているのかチェックし修正が必要です。
売掛金の残高がマイナスなら売上計上されているかどうかをみますし、現預金がマイナスなら入金処理が漏れていないか、預金口座なら毎日の残高が合っているかからチェックをします。
借入金や未払金も同じく、どこがどう間違っているかを見ていくことになります。
フリーランスの方の決算書を拝見するとどこが一番間違っているかと聞かれるとこの貸借対照表で残高がマイナスになっているものがあるということ。
また反対もあって現金が何百万円にもなっていることがありますがお伺いすることそんなことはないですとなり、じゃあ何かが間違っていることになります。
現金が多い場合にはプライベートの現預金の処理を事業用の現預金で処理していることがありそれが原因であることが圧倒的に多いです。(事業主勘定を使うところを現預金(事業用)で処理したことによる)
ダブり項目がないか
これはクラウド会計ソフトを使っている場合に時々見かけるのですが、連携などがダブっているケースがあります。
例えばクレジットカードのデータ連携をしていてAmazonのアカウントとも連携をしている場合がそうです。
クレジットカードでAmazonでの購入について支払いがあればデータ連携されますし、Amazonのアカウントでも連携されると二重になります。
クレジットカードを連携していて、カードを使ったときに自分で手入力をしている場合も同じような現象となります。
入力をすることとデータ連携をすることを切り離して考えること、またその結果がどういう仕訳やデータになるかを意識できないと二重の状態が解消できません。
登録された内容を理解しておらず、同じ売上の内容で売掛金が2つや3つ計上されているケースもありました。
このあたりはひとつずつ二重がないかをチェックしていくか、会計ソフトによっては重複チェック機能がありますのでそういうったものを使いましょう。
まとめ
地道な事務仕事になりますが自分の仕事でも最後のチェックはやるはずです。
利益を正しく計算し税金計算に誤りがないようにするために必要なことですので、まずは貸借対照表からチェックしていきましょう。