京都の相続に強い税理士ジンノです。
2019年7月1日に令和元年分(平成31年1月1日から令和元年12月31日)の路線価が発表されました。
相続分野において非常に重要な路線価について、路線価とは?という基本から、令和元年分の京都の路線価について少し分析してみます。
路線価とは
土地にはたくさんの値段があります、というと何を言っているんだと言われそうですが、土地は「一物四価」と呼ばれることがあります。
これはひとつの土地に4つの値段がある、という意味です。
土地には複数の値段がついていまして、この一物四価を例にすると
[box04 title=”一物四価”]- 第三者間での売買取引の価額(実勢価額。)
- 土地取引の参考になる価額(公示地価。国土交通省が発表)
- 相続・贈与するときの価額(相続税評価額。路線価を国税庁が発表)
- 固定資産税を課税するための価額(固定資産税評価額。市区町村が発表)
となっています。
この③相続・贈与するときの価額を相続税評価額と言いますが、相続税評価額を算定するための指標が路線価です。(地域によっては路線価が付されていないところもあります)
路線価は国税庁から毎年7月に発表されてその年1年間の基準となります。
よって、例えば平成31年の1月に亡くなった方が所有していた土地の相続税評価額を計算する場合には7月の路線価の発表まで待つ必要があります。
上記の例では、7月まで待っていると申告期限まで期間が短くなりスケジュールが窮屈になります。実務的には昨年の路線価を使って評価をしておき、路線価が発表されたらその路線価だけを入れ替えて評価を完成させることが多いです。
路線価は誰が決める?どう使う?
相続税や贈与税と密接な関係がある路線価ですが、誰が決めているのでしょうか?
土地の値段のことについてのプロは不動産鑑定士という資格があります。
路線価については国税庁から不動産鑑定士への公的評価の依頼という形で、不動産鑑定士が路線価を様々な要因をもとに決定します。
路線価を使うのは税理士がメインです。
路線価自体が相続税評価額の計算の根拠になりますので、相続税・贈与税の案件において非常に重要です。
また、最近ですと事業承継のお話を耳にすることもあるかと思いますが、会社が不動産を持っていてその会社の株式を評価する際には、その不動産の株式を評価する際においても路線価が株の値段に影響します。
京都の路線価を分析!
ここで京都の路線価について令和元年分も含めて見てみましょう。
京都府内の平成30年分の最高路線価は、四条河原町の交差点北西角、御旅町付近です。ちょうど京都高島屋の向かい側となります。
拡大すると
この京都でも屈指の路線価価格が高いところで定点観測してみましょう。(ちなみに単位は千円です。㎡あたり4,750,000円ということになります。)
路線価 | |
平成30年分 | 4750 |
平成29年分 | 3920 |
平成28年分 | 3250 |
平成27年分 | 2780 |
平成26年分 | 2640 |
平成25年分 | 2520 |
平成24年分 | 2520 |
平成24年分から比べると平成30年分の路線価はほぼ倍に迫る勢いで増加しています。
これは京都市内の特にホテル需要が高まっていることにより京都市内ほぼ全域で路線価が上昇していることが大きく影響しています。
需要が高まればモノの値段が高くなるというのは経済のセオリーです。土地の値段も同じく、需要が高まれば基本的に路線価も上がります。
裏を返せば路線価の上昇が鈍ったり停滞していると需要としてはひと段落しているとみても良いでしょう。
特に京都市内はホテル需要が非常に高い状態が続いていました。少し広い土地が工事に入ったと思うとホテル予定地になっていたりします。
京都市内のホテルの客室数はピークを迎えつつあるのでは?と言われていますので、令和元年分の路線価は注目されており、それが今日発表されました。
路線価 | |
令和元年分 | 5700 |
平成30年分 | 4750 |
平成29年分 | 3920 |
平成28年分 | 3250 |
平成27年分 | 2780 |
平成26年分 | 2640 |
平成25年分 | 2520 |
平成24年分 | 2520 |
令和元年分路線価の状況を上記のグラフに入れ込んでみますと
観光地の強さを見せつけられた形かなと。京都市内の路線価はおそらく全体的に上昇しているものと思われます。
外国人観光客の数というのも地元京都に住むものとして年々増加しているように感じますし、外国人客向けの店舗需要というのもいまだ堅調かと思います。
まとめ
京都の路線価は観光地ということもあり上昇基調です。東京オリンピックを来年に控えて来年以後の路線価も注目されます。
不動産の贈与などで路線価が気になる方、財産の概要を確認したい方は国税庁のHPから確認できますので現状の確認をしてみてはいかがでしょうか。