青色申告特別控除について税制改正対応で改正が予定されています。ただし現在選挙期間中にあるため、予算編成と税制改正がいつのタイミングになるかわからない状況です。
いずれにしても現行制度からの見直し案が出ていますので、少し触れておきます。
現行制度の確認
現行においては、以下のような形で整理しておくと分かりやすいです。
まず複式簿記で、次のイまたはロまたはハのいずれかを満たす場合には65万円の控除を取れるという認識で良いです。複式簿記+イまたはロ=65万円控除
イ. 優良な電子帳簿(訂正削除履歴付き)
ロ.請求書データ等との自動連携
ハ. 電子申告
続いて、複式簿記で上記を満たさず、つまり書面申告の場合については55万円の控除になります。
電子申告がどうしてもできない場合などは、この55万円控除を使って申告をするという方が多いと思います。
最後に簡易簿記ということで、いわゆるB/S(貸借対照表)のない簡易的な簿記を使って帳簿付けをして申告をする場合には、青色申告特別控除は10万円という内容になっています。
実務対応の現状
さらに一歩踏み込んでみると、実務対応においては、複式簿記プラス電子申告で65万円の控除を取っているケースが圧倒的に多いと考えられます。
いわゆる優良な電子帳簿(訂正削除履歴付き)については、対応が難しくコストも高いと考えられるため、現行ではあまり見かけない印象です。
また、請求書データ等々の自動連携についても要件を満たしておらずこれで申告しているというケースを見かけません。
現状では複式簿記プラス電子申告という形が65万円控除の大きな割合を占めていると考えられます。
あとは書面で申告する場合は55万円控除、B/Sを付けていない場合は10万円控除という区分になると考えられます。
特に事業所得のある場合には、65万円控除を取れることは税額計算上は有利なので、電子申告を推奨するということも含めて、青色申告特別控除の65万円が設定されていると考えられています。
この金額や見直し案について少し触れておきます。
見直し案について
アメとムチのような内容になっている部分もありますが、どちらかというとムチの方が厳しい印象がありますので、その点についても少し触れておきます。
現行と違う部分については、控除額の変更がある部分です。
複式簿記+電子申告プラス次のイ、ロのいずれかを満たす場合、75万円の青色申告特別控除を選択できます。
イ. 優良な電子帳簿(訂正削除履歴付き)
ロ. 請求書データ等との自動連携
いずれかを選択した場合には、75万円の控除です。要件は3つに増えたと考えてもらってよいでしょう。
これに対して、複式簿記+電子申告の場合には現行と変わらず、青色申告特別控除は65万円のままです。
また、複式簿記のみで書面申告の場合については55万円から10万円の控除に減額になるということと、簡易簿記については対象を限定した形で10万円の控除が維持されます。
75万円に増える部分もあれば、現状と変わらない部分もあり、反対に書面申告については65万円の控除、もしくは75万円の控除を選択することができなくなりました。
つまり、55万円の青色申告特別控除がなくなるということを意味します。
電子申告の推進
確定申告相談会場に行って事業所得の方の申告を見る機会があると、税務署としてはスマートフォンでの申告を推奨しているようです。
パソコンでも申告できますが、スマートフォンとマイナンバーカードがあればある程度の申告ができるということのようです。
そのため、書面申告をなるべく減らしていく方向性を強化していると考えられます。
電子申告をしていない人の55万円控除をなくして、より電子申告を進めていこうという方向性です。
また、事業的規模の事業者については、1,000万円超の収入金額がある場合には複式簿記による帳簿作成をしないと青色申告特別控除が受けられない見込みです。
これは、事業的な規模があるのであれば収入が多い人は複式簿記をしてくださいということを要求していると言えると思います。
まとめ
この改正内容については令和9年分からが予定されていますので、2026年、つまり令和8年中に対応を進めておく必要があります。
ポイントをまとめると以下の通りです。
・75万円控除の新設:複式簿記+電子申告+優良な電子帳簿または請求書データ自動連携
・65万円控除の維持:複式簿記+電子申告
・55万円控除の廃止:書面申告では最大10万円控除のみに
・事業規模が大きい場合(収入1,000万円超)は複式簿記が必須に
電子申告への移行がまだの方は、早めの対応をお勧めします。また動きがあり次第お伝えしていきます。
