個人事業主の方は事業年度末が12月末ですので、今の時期は決算の着地見込みが出始める頃かと思います。
定期的に帳簿付けをしていれば、今期の利益予想や試算の内容なども確認できると思いますので、必要なものがあれば年内に購入しておくことをお勧めしています。
その際、いわゆる固定資産や棚卸しなどについては注意点がありますので、少しお伝えしておきます。
パソコンやプリンターなど固定資産に該当するもの
いわゆる減価償却と言って、固定資産の場合は経費にするのにプロセスが必要なケースがあります。10万円以下の物品に関しては、消耗品として基本的には購入したタイミングで経費になります。
また、青色申告の場合は30万円という金額の目安があり、それを下回っている物品については、少額減価償却資産として減価償却して全額を経費にすることが可能です。
つまり、今のタイミングで購入する際には30万円という目安が1つあるということを覚えておきましょう。
30万円以下であれば購入していただいたら経費になるというのは間違いないのですが、もう一つ注意点があります。
それは年をまたいで物品が到着するときには、年内に手元に届いていないので経費にならないということです。
大事なのは年内に、例えばパソコンが届いてそれを使い始めるということです。
厳密なことを言うと、届いてそれを置いたままにして年を越してしまうと使っていない状態と言えます。
30万円という基準と、年末までにパソコンやプリンター、タブレット等が手元に届いてそれを使い始めるというのが注意点ですので、覚えておきましょう。
棚卸しや貯蔵品という勘定科目について
一方で、たな卸しや貯蔵品にも注意点があります。こちらについても見ておきましょう。
例えば、ビジネスにおいて仕入れがあってそれを販売するような事業者の場合には、在庫を確認しておく必要があります。
これは仕入れたものが全部売れていれば良いのですが、例えば個人事業主だと年末が事業年度末ですので、年越しのタイミングで品物が残っているという場合には、売れていませんので棚卸しとして在庫としてカウントするということです。
在庫としてカウントした後は、また次の事業年度において期首の商品として販売したら経費になっていくというイメージです。
ですので、物品を取り扱う事業者の場合には在庫を取って次の年に繰り越す分(たな卸し)があるということを覚えておきましょう。
また、モノはあるけれども商品として販売するものではなく、例えば私で言うと、ボールペンやクリアファイルなどを事務所の名前入りのものを作っています。
そういった物品については、すべてを事業年度内に使っているのであれば経費になりますが、そうではないということであれば、貯蔵品という形で翌年以降に繰り越していくことになります。
こちらも物の数と単価で貯蔵品や棚卸しをしていくのがもちろん正しい処理ではあるのですが、感覚的にこれぐらい残っていたというざっくりしたものでもいいので、把握しておいた方が望ましいでしょう。
まとめ
年末の経費計上では、タイミングが非常に重要になります。固定資産については30万円という基準を意識し、年内に手元に届いて実際に使い始めることが年内の経費計上の条件となります。
また、在庫を抱える事業者の方はたな卸しを、消耗品などを扱う方は貯蔵品の管理を忘れずに行いましょう。
正確な金額でなくても概算で把握しておくことで、税務調査でのリスクを軽減することができます。年末の慌ただしい時期ですが、適切な経費管理で気持ちよく新年を迎えられるよう準備を進めていきましょう。
