フリーランスの方が固定資産を購入したとき、売却したときの確定申告について整理をしておきます。
時々間違いを見かけることがあるので注意が必要です。
フリーランスが固定資産を購入したときの処理
フリーランスの方が固定資産を購入した場合、購入したときの処理は一般的な法人と同じです。青色申告の場合には以下のように取り扱われます。
- 100,000円未満のものについては、消耗品として処理
- 100,000円以上で300,000円までのものについては、少額減価償却資産、もしくは一括償却資産として処理
- 300,000円を超えるものについては、減価償却が必要になる
その時によく質問をいただくのは、事業の按分割合についてはどのタイミングで掛けるのかという話です。
基本的には計算の最後で掛けることになります。仮に1,000,000円のものを購入して事業に半分、プライベートに半分使うというケースで、どう計算するか見てみましょう。
1,000,000円のものを仮に5年で償却するという場合には、初年度から60ヶ月で減価償却をします。定額法といって毎月の減価償却費が同じ場合には以下のように計算します。
1,000,000円 × 12 ÷ 60 = 200,000円
これが年間の減価償却費になります。このうち事業とプライベートを半々というケースだと、この200,000円に対して × 50%を計算して減価償却として計上する金額を計算します。
1,000,000円の最初の部分に按分割合を掛けるのではありませんので、その点は注意が必要です。
減価償却の期間や方法については、その資産の内容に応じて変更されますが、個人事業主の場合は基本的に定額法で、耐用年数についてはそれぞれの資産に応じてということになりますので、計算する際に確認をしてください。
フリーランスが固定資産を購入したときは法人と同じような処理になります。
特に青色申告をしている場合には10万円、30万円の金額のラインがありますので、そこは少し意識しておくと良いでしょう。
減価償却の方法に関しては、資産の内容や法人、個人で違いがありますので、そこの部分は要注意です。いくらの金額が経費なのか、減価償却費として計上できるかという部分は注意が必要です。
フリーランス特有でいうと、少し触れたように按分計算の部分が大事になりますので、どの部分で按分計算をするのか、またその按分の割合についても慎重に判断した方が良いです。
フリーランスが固定資産を売却したときの処理
続いて、フリーランスが固定資産を売却した時の処理を確認しておきましょう。この部分は法人が売却した時と大きく異なりますので、特に注意が必要です。
仮に減価償却が終わった資産を売却したとします。具体例で言うと、100万円の車両を減価償却が終わって簿価1円になっていたとします。分かりやすいように簿価1円のものを50万1円で売れたとします。この場合の処理について考えてみます。
通常の法人や事業者であれば固定資産売却益として、50万1円 − 簿価1円 で50万円の売却益が計上されます。固定資産売却益という形で法人税の課税対象になります。
個人の場合は同じように処理したいところですが、事業に使っていた資産については別建てで処理をするルールになっています。
譲渡所得といって総合課税の課税区分の中で計算をすることになります。
計算自体は、50万1円 − 簿価1円 で50万円という部分に変わりはないのですが、総合課税の譲渡所得の場合は特別控除の金額がありますので、その部分を忘れないように処理しておくことが必要です。
(総合譲渡)長期譲渡所得と短期譲渡所得
総合課税の中には、長期譲渡所得と短期譲渡所得の2種類があります。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得で、短期譲渡所得は5年以下の場合です。いずれの譲渡所得についても、以下のように所得金額を計算します。
短期譲渡所得
収入金額 − (取得費 + 譲渡費用)− 特別控除50万円
長期譲渡所得
{収入金額 − (取得費 + 譲渡費用)− 特別控除50万円} × 1/2
つまり、長く持っていた資産については所得金額が半分になるということです。ただし、50万円を超えていない場合には所得は0円ですので、長期も短期も課税の対象にはなりません。
まとめ
フリーランスの固定資産の税務処理では、購入時と売却時でそれぞれ注意すべきポイントがあります。
購入時は法人と同様の処理になりますが、按分計算のタイミングに注意が必要です。按分は減価償却費を計算した後に行うという点を忘れないようにしましょう。
一方、売却時の処理は法人と大きく異なります。事業用資産の売却は事業所得ではなく、譲渡所得として確定申告書で処理します。
特別控除50万円があることや、長期譲渡所得の場合は所得金額が1/2になることを理解しておけば、税負担を適切に計算できます。
