年末年始から年明け、特に確定申告の時期は贈与に関するご相談が増える時期です。
ご自身で税理士に相談せずに対応されている方も一定数いらっしゃいますが、注意すべき点もありますので、現預金の贈与に絞った基本的なQ&Aをお伝えします。
Q1. 贈与契約書がないとダメですか?
A. なくても成立しますが、あった方が良いです。特に相続税申告が想定される場合はなおさらです。
贈与契約は、贈与する側と受け取る側の意思が合致することで成立します。
契約書がなければ成立しないというわけではありませんが、後々の証明のしやすさという点では、ないよりあった方が有利です。
特に相続税申告が想定されるご家庭では、相続税の税務調査を見据えた贈与対策が必要です。
相続税の税務調査では、贈与が成立していたかどうか、あるいは名義預金ではないかという点も合わせて確認されるためです。
そうした調査を見越すのであれば、贈与契約書は用意しておくことをお勧めします。
Q2. 未成年に対しても贈与できますか?
A. できます。親権者の同意があればOKです。
未成年への贈与は、親権者が承諾していれば成立します。Q1と同様に契約書があった方が望ましいですが、ない場合でも親権者が同意していれば問題ありません。
ただし、未成年が受贈者(受け取る側)の場合、預金口座や印鑑の管理状況について税務調査で細かく確認される傾向があります。
相続税申告が発生する可能性があるご家庭では、特に注意してください。
Q3. 一度に贈与した方がいいですか?それとも年末年始をまたいで2回に分けた方がいいですか?
A. 可能であれば、年末年始をまたいで2回に分けた方が税金計算上は有利です。
贈与税の計算期間は1月1日から12月31日までの1年間です。たとえば、12月31日に贈与したものはその年の贈与税申告の対象となり、1月1日に贈与したものはその翌年の贈与税申告の対象となります。
1回でまとめて贈与するよりも2回に分けた方が、基礎控除を2年分活用できるため、贈与税を抑えられる場合があります。
タイミングに融通が利くようであれば、ぜひ検討してみてください。
Q4. 一般贈与と相続時精算課税贈与、どちらが有利かわかりません。
A. 相続税申告の有無や財産規模によって異なります。シミュレーションをしておくことをお勧めします。
一般贈与については、相続財産への持ち戻し期間が順次延長されており、最終的には亡くなる前7年間の贈与が相続財産に加算されるルールになります。
一方、相続時精算課税贈与については、届出をした時点から亡くなるまでの贈与のすべてが原則として持ち戻しの対象です。
ただし、相続時精算課税にも年間110万円の基礎控除が設けられ、この基礎控除の範囲内の贈与については持ち戻しの対象外となっています。
一般贈与・相続時精算課税ともに基礎控除は年間110万円ですが、この取り扱いの違いが有利・不利の判定に影響します。
いずれにしても、実際にシミュレーションをしてみないと判断が難しい部分もありますので、専門家への相談をお勧めします。
Q5. 110万円を少し超える金額で贈与し、あえて贈与税の申告をさせることは有効ですか?
A. 贈与税の申告と贈与契約の成立は別問題です。一定の効果はありますが、万能ではありません。
贈与税の申告をしているかどうかと、贈与契約が有効に成立しているかどうかは、法的には別の問題です。
「贈与したつもりだったが、実際には贈与が成立していなかった」として、名義預金と判定され相続財産に加算されるケースは、税務調査の現場では決して珍しくありません。
申告の有無だけで贈与の成否が決まるわけではありませんので、贈与の実態(資金の管理状況、受贈者の認識など)を整えておくことが重要です。
Q6. 複数年にわたって贈与を続けると「連年贈与」と指摘される可能性があると聞きました。実際にそのようなケースはありますか?
A. 通常の年ごとの贈与であれば、連年贈与として否認されるケースはほとんど見られません。
税務の現場で、毎年100万円・200万円といった贈与を単純に合算して連年贈与と認定された事例は、筆者の経験上ほとんど聞いたことがありません。
ただし、注意が必要なのは贈与契約書の書き方です。
たとえば「500万円を贈与するが、1年ごとに100万円ずつ支払う」というような記載をすると、最初から500万円の贈与契約が成立していると見なされ、連年贈与と認定されるリスクがあります。
贈与契約書には、その年に贈与する財産のみを記載するのが基本です。毎年独立した贈与契約として処理していれば、連年贈与の問題は通常生じません。
まとめ
贈与は正しく行えば有効な相続税対策になりますが、「贈与したつもり」が税務調査で認められないケースも少なくありません。
契約書の作成・口座や印鑑の管理・申告の有無など、贈与の「事実・実態」を積み重ねておくことが大切です。
また、一般贈与と相続時精算課税贈与のどちらが有利かは、財産規模や家族構成によって異なります。ご自身での判断が難しい場合は、早めに税理士へご相談されることをお勧めします。
