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個人事業主の必要経費を生成AIに聞いてみた

税理士の仕事をしていると、特に個人事業主の方から経費になるかならないかを聞かれるケースがあります。

ご自身の事業に関連しているかどうか、必要だったかどうかという前提はあるものの、今まで経理をしたことがなく、また事業をしていても「どっちかな」という状況は確かにあると思います。

最近は生成AIに聞いてみるというのも選択肢になっていますので、経費になるかならないかを生成AIに判断できるかどうか、少し検討してみます。

目次

生成AIに聞くときのポイント

生成AIもいろんな種類がありますが、チャット型のものが良いと今回に関しては考えています。

例えばChatGPTやClaude(クロード)など、会話型で返事をもらうということができますので、質問をしてそれに返答してもらうという形だと理解しやすいと思います。

注意が必要なのはChatGPTやClaudeなどそういった生成AIは、聞き方を間違えると結構誤った回答をすることがあることです。

これはいろんな質問の仕方にもよるのですが、聞き方も大事ということです。

例えば「経費になるかならないか」ということだけで聞くと、十分な返答が得られないことがあります。

Claudeという生成AIを私は特に好んで使っているのですが、このClaudeで返答をもらう場合でも、質問の仕方次第で回答の質が変わってきます。

これだけではやはり判断が難しいというケースが多いので、質問するにしても、ここは押さえておいた方が良いだろうというポイントをお伝えしておきます。

ポイント1:あなたの職業を伝える

職業によって、経費になるものならないものというのは、割と大きく違うことがあります。

税理士業だと、仕事をする上で知識の習得は大事になりますので、研修やセミナーに参加したり、本を購入したりということが比較的経費と考えられやすいです。

しかし、例えば体力仕事の場合には、そういったものに参加しなくても仕事としては成立する可能性が高いです。必要経費として考えられる内容は狭いといえるでしょう。

私がお客様として多く抱えている漫画家・同人作家の方だと、資料や取材費として、通常経費にならないケースが多い漫画などについても、事業に必要だった、作品作りに必要だったという説明ができれば経費になる可能性が高いです。

なので、あなたが今どういう職業をしているのかというのは、質問をする上ですごく重要なポイントになります。

ポイント2:内容と用途を明確にする

どういった内容のもので、主な目的はどういう用途なのかというのは押さえておいた方が良いです。

例えば、エナジードリンクというのは清涼飲料水という位置づけになります。

仕事をする上で本当にそれが必要なのかというのは一旦横に置いておいて、エナジードリンクの効果としては疲労感を和らげたり、カフェインを多く含んでいるので神経を高ぶらせたりといった効果が見込めると思います。

要は健康飲料水のような形で健康を目的にしたもの、もしくは気分を良くするために飲むものというのが考えやすいです。

そういったドリンクの主な目的については、やはり整理しておいた方が良いでしょうし質問の中に織り込んでおくと良いと思います。

ポイント3:具体的な商品名を挙げる

もっと言うと、具体的に商品名を挙げておくと、検索ができる生成AIだと、検索をしてそういうものがどういった用途で考えられるかというのも検討してくれるはずです。

ポイント4:判断根拠となるキーワードを入れる

さらに、経費になるかどうかの根拠は所得税法等に記載がありますので、以下のような内容を質問内容に入れておくと、より良い回答が得られる可能性が高いです。

「業務関連性」や「業務必要性」「経済合理性」など、税理士が経費になるかどうかを考えるときに、こういったキーワードが入ってくることがありますが、そういった判断根拠になるベースを質問の中に入れておくというのも比較的大事なように思います。

実際に質問してみた結果

では、実際にこうしたことを考慮した上で、こういったものが経費になるかどうか質問してみましたので、結果を確認してみましょう。いくつかピックアップしてみたので、ご自身でも確認してみると良いと思います。

漫画家・同人作家がエナジードリンクを経費と出来るかどうか。

所得税法第37条において必要経費は、 「これらの所得の総収入金額に係る売上原価 その他当該総収入金額を得るため直接に要した 費用の額及びその年における販売費、一般管理費 その他これらの所得を生ずべき業務について 生じた費用の額とする」と規定されている。

所得税法第45条(家事関連費等の必要経費不算入等) 居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、 その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、 山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、 必要経費に算入しない。-家事上の経費及びこれに関連する経費で 政令で定めるもの。

政令とは所得税法施行令第96条で、 必要経費になる家事関連費を 「業務の遂行上必要であり、かつ、 その必要である部分を明らかに区分することが できる場合における当該部分に相当する経費」 と規定

つまり明確に区分できないものは必要経費とならない、と考えられます。これらを踏まえたうえでの解答

Claudeに聞いてみた

結論:原則として経費にはならない

理由

1. 「直接に要した費用」の要件を満たさない

  • エナジードリンクは飲料水であり、食費と同じカテゴリー
  • 食事・飲料は生活の基礎的支出
  • 「仕事中に飲む」だけでは、売上を得るために「直接」必要とは言えない
  • 飲まなくても漫画制作そのものは可能

2. 「明らかに区分する」ことができない

  • 業務時間中に飲んでも、それは生理的な水分補給の側面もある
  • カフェイン摂取は私生活でも行う行為
  • 同じ飲料を私生活でも飲む可能性が高い
  • 客観的な按分基準を設定することが困難

3. 家事費との区分が実質的に不可能 所得税法施行令第96条の要件である

  • 「業務の遂行上必要」→ 代替手段があり、必須とは言えない
  • 「必要である部分を明らかに区分」→ 生活費との区分が不明確

税務実務上の原則

食費・飲料代は原則経費にならない理由:

  • 人間は仕事をしていなくても食事・水分補給が必要
  • 業務遂行との因果関係が間接的
  • 生活費との区分が本質的に困難

例外的に認められるケース:

  • 取材のための飲食(取材費)
  • 打ち合わせでの飲食(会議費・交際費)
  • 作品内で使用する資料としての購入(資料費)

エナジードリンクは、このような例外に該当しません。

正しい理解

「仕事の効率を上げるため」という主観的理由だけでは、所得税法上の必要経費の要件を満たしません。この論理を認めると、すべての食費・飲料代が経費になってしまいます。

直接関連性がなく、区分も明確でないため、経費として計上することは適切ではないと判断されます。


まとめ

生成AIを活用することで、経費判断の基本的な考え方を知ることができます。ただし、適切な回答を得るためには質問の仕方が重要です。

押さえるべき4つのポイントは次の通りです:

  1. 職業を明確に伝える – 業種によって経費の範囲は大きく異なります
  2. 内容と用途を具体的に説明する – 何のために使うのかを明確にする
  3. 具体的な商品名を挙げる – 検索機能を活用してもらう
  4. 判断根拠のキーワードを含める – 「業務関連性」「業務必要性」「経済的合理性」など

生成AIはあくまで判断の参考ツールです。最終的な判断は、実際の業務内容や状況を踏まえて行う必要がありますが参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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