相続財産に山林がある場合に注意したいのが立木の評価です。ごく稀に立木の評価対象になるような山林を所有しておられるケースもありますので、立木の財産評価について、そもそもその山林の立木が財産評価が必要なものかを判断するプロセスと注意点について整理しておきましょう。
立木とは
立木とはいわゆる木なのですが、どういったものをイメージできるかと言うと、財産評価基本通達に挙げられている木を見てみると立木の評価対象となる木として、ヒノキや杉といったものがピックアップされています。
国税庁の路線価のページを見ていただくと都道府県ごとに「森林の立木の標準価額表」というものが設定されていますので一度見てみると、こういう種類の木が財産評価の対象なのだとわかりやすいです。
ちなみに京都だと杉、ヒノキ、北山杉が価額表に記載されています。
相続財産に山林がある場合には、立木があるかどうかを確認するプロセスを挟むケースがあります。ざっくり言うといわゆる雑木林のような手入れされていない里山であったり、木は生えているけども種類が不明で、切り出して木材としての財産的な価値があるかどうかということを見極める必要があります。
いわゆる雑木のようなものだと、立木の評価対象になるようなものはないと考えてもらっても良いと考えられます。というのも、そういった雑木林に生えている木は、手入れがされておらず、木材としての価値がほぼないとされているからです。
ただそうはいっても見た感じで財産評価の対象ではなさそう、ということだけでは計上しない根拠になりませんので立木として財産評価が必要かどうかを確認するために森林簿を確認することになります。
森林簿とは
森林簿というのは、いわゆるその山林に生えている木の状況を整理した帳簿のようなものです。都道府県単位で林業や農業部門を管轄する部署で整理されています。
森林簿は登記簿との整合性はないとされていますが、この辺りの森林にどういう木がある、みたいな帳簿的に記載事項がまとめられているため参考資料にはなります。
森林簿を閲覧することができたら、そこに生えている木の種類が森林簿に記載されています。それを見た上で立木として評価が必要かどうかを判断していくわけです。
ちなみに山林の区分の中に開発許可が必要な保安林というものがあります。こういったものは都道府県単位で管理されており、保安林台帳の請求・閲覧を都道府県の管轄部署で行い、保安林の種類などを確認します。
保安林は固定資産税が非課税の森林・山林となっているため、固定資産税の納税通知書に上がってこない山林になりますので、名寄帳をとって確認をしておくことが望ましいです。
評価対象となる立木の例
イメージで言うと、例えば京都だと北山杉のような木材として有名なものだったり、利用価値が高い木材として切り出せるような手入れがされている木を立木として評価するケースが多いです。
私の個人的な印象ではありますが、林業の対象になるような山林だと立木として評価する木材が多いかなと見ていて感じます。
繰り返しになりますが、手入れがされていない雑木が生えているようないわゆる雑木林の山林については、立木としての財産価値が著しく低いと考えられているため山林のみの評価になるケースが多いです。
まとめ
相続財産に山林がある場合は、まず森林簿の調査から始め、立木の評価が必要かどうかを慎重に判断することが重要です。
山林相続における立木評価のポイント
- 評価対象の見極めが重要
- ヒノキ、杉などの材木として価値のある樹種が評価対象
- 雑木林などの手入れされていない山林の立木は基本的に評価対象外
- 森林簿による調査が必須
- 都道府県で管理される森林の状況を記録した帳簿
- 保安林の確認や樹種の特定に必要
- 保安林の特別な注意点
- 固定資産税非課税のため納税通知書に記載されない
- 都道府県単位で管理されており、別途、保安林台帳で調査が必要
- 地域特性を考慮した評価
- 京都の北山杉など、地域の著名な材木は評価対象
- その土地の特性を理解した上での判断が重要
- 実務上の判断基準
- 材木としての利用価値があるかどうかが評価の分かれ目
- 手入れの状況と樹種を総合的に判断