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相続税の延納・物納を検討するタイミングや注意点

相続税の延納・物納を検討するタイミングや注意点

相続税の納税は金銭一時納付、つまり現金一括での納付が原則です。ただし、それにより納税できない場合などは延納(分割による納付)、物納(相続財産そのもので納付)があります。

延納と物納を検討するタイミングや注意点についてお伝えします。

目次

延納・物納を検討するタイミング

延納や物納は現金で一括納付できない場合の納付方法ですので、まずは現金納付ができない状況かどうかが検討のポイントです。

順番としては、原則による現金納付が困難→延納による納付が困難→物納による納付、という順番です。

延納や物納には税務署による承認が必要となりますので納税者側で勝手に延納や物納ができるわけではありません。

相続財産以外でもその納税者の資産から納税ができる場合にはその点も考慮されます。

つまり、相続財産にそもそも現預金がとても少なく、納税者個人の財産にも現預金が少ない、というのが延納や物納を検討するタイミングとなります。

長年の地主で相続財産に占める不動産の割合が非常に高いケースなどが該当することが多いです。

延納や物納は遺産分割ができていること、また期限までに申請することが必要となるため早い段階で相続財産の把握と納税方法の検討が必要です。

こうして書いているのをみると容易に感じるかもしれませんが、注意点も含めてかなりハードルが高いのでそれなりの時間と手間がかかることは意識しておいたほうがよいです。

延納・物納の注意点

延納や物納の注意点をいくつかお伝えしておきます。

まず利子税の存在です。

延納も物納も申告期限までに納税ができないことになり、また承認を得るまでも時間を要します。

本来納めるべき金額を申告期限までに納税できないことにより、納税を待ってもらっている状態ですので利子税が課税されます。要は利息です。

納税金額によっては相当に高い利子税になるためその点は注意が必要です。

延納の場合には担保が必要となり、相続財産の不動産や納税者本人名義の不動産などです。国債なども担保設定できますが、換金したほうが利子税を含めて納付金額が抑えられる可能性はあります。

物納の場合には、物納できる財産の順位が決まっているためどんな財産でも物納できるわけではないということも注意しておきましょう。

遺産分割が確定してることも注意点のひとつです。

つまり親族間で争いがあり、誰が何を相続するのか決まっていない、いわゆる未分割の状態では延納や物納は申請できません。

分けられていることでその納税者が納付する相続税が確定するため、分けられていることが要件になっています。

揉め事があって分けられない場合には延納・物納は難しいと覚えておきましょう。

納税資金がどうしても手当てできそうになく、揉め事の種があると感じるのであれば遺言を準備しておくことも選択肢のひとつです。

少なくても分けられる状態にしておくというのは延納や物納を選択しない場合でも相続税の計算や納税においても有利になることがあります。(未分割での相続税申告は各種特例が適用できないため)

売却処分できるものがあるなら所得税等と比較しておくことも注意点になります。

延納も物納も相続税の納付方法として用意されてはいますが適用して選択することのハードルはかなり高いです。物納は全国でも毎年100件に満たない件数です。

不動産や株式があり換金できる可能性があるのであればそちらを選択したほうが良いケースも多いため、生前対策できる状況であれば納税資金の確保も対策しておくべきことです。

売却処分して納税もスケジュール的にはタイトになることが多いですが、それでも利子税や所得税の分を考慮しても精神的にも楽だったというのは現場でよく見聞きます。

まとめ

相続税の延納や物納についてお伝えしましたが、仮に申請して承認を得られたとしても納税は遅くなるため精神的なストレスは納付が完了するまでかかり続けます。

納税資金について心配がある場合には生前対策と相続後の売却などで手当てできないかをまず検討し、それでも難しそうという場合の選択肢であることを理解しておくほうがよいでしょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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