融資を無事に受けることができたら中小企業はその金融機関に対してやっておきたいことがいくつかります。
担当者が来ないからとか、呼びつけて、ということではなく、自発的に動いて担当者に「また借りてくれたらいいな」と思わせることも大切です。
融資の後にやっておきたいことを整理しておきます。
担当者への報告
まずは担当者に今の事業の報告ができることが大事です。
なるべく定期的に行ったほうがよいのですが、毎月だと担当者もそれほど必要としていないケースがあるため、四半期ごと(つまり3か月ごと)ぐらいで考えておくのがよいでしょう。
何を報告するかですが事業の現況として月次決算の資料があると担当者も安心材料としてとらえやすいと考えられます。
何もなく手ぶらで報告しても社長の言葉だけしかない状態ですから、裏付けがないと効果が薄くなります。
担当者は返済してもらえるかどうか、というのがまず第一で考えたいことですので、状況が良いのであればあまり心配ないですが、悪くなっている、停滞しているのであれば今後どうしていくかも含めて話をしておくのが望ましいです。
また社長から担当者への報告をというと、担当者を会社に呼びつけたりするケースがときどきあります。
担当者のほうから伺いますと申し出があるのであればよいですし、定期的に顔を見せてくれているなら比較的良い関係が築けていると思いますのであまり心配ないです。
普段から付き合いがあまりないケースは、こちらから視点に出向くつもりで連絡しておくのがよいです。
担当者もその会社だけを見ているわけではなく数十社担当しているケースもあるため、なかなか忙しくしています。
わざわざ雨の日に呼びつけたりする(信用金庫などの担当者はバイクでの外回りが多いです)と印象としては悪くなるかなと。
決算でできること
決算でできることもあります。虚偽の内容で決算書を作るというのはよくないですが、できれば利益が多いほうがよいです。
赤字でも借りれた、何も言われなかったというのは「たまたま」の可能性がありますし、今後の付き合いも考慮すると利益が出ているほうが望ましいです。
特に、粗利益(売上総利益)と営業利益(本業の儲けと言われる利益)については意識しておきましょう。
例えば商品を取り扱う企業の場合だと在庫棚卸が粗利益に及ぼす影響はかなり大きいです。
例えば在庫の商品の陳腐化などで除却、廃棄処理をしたときの費用はどこに計上したほうがよいか、というのは検討事項になります。
税務会計上もですが融資を受けている会社の粉飾決算を金融機関側もかなり忌避します。今後の融資謝絶や一括返済を求められるケースもあります。
粉飾決算にならないように、というのは当然意識しつつ、決算整理や対策でできることがないか、適切な処理の範囲で見栄えがよくならないか、というのは検討しておきたいことです。
中小企業向けに会計指針や基本要領などもありますので、そちらのチェックリストも活用しながら、決算でできることをひとつずつやっていきましょう。
減価償却を止めたり、役員報酬を限りなく減らしたり逆に過大と思われる金額設定にすると金融機関側では決算書を実態に合わせた修正を行って審査にかけていると言われています。
取り繕うことがないようにはしておきたいところです。
また役員貸付金、他の子会社などへの貸し付けがないかも気にかけておきましょう。
融資した資金がよそに流れる可能性を金融機関は非常に気にしますので、貸したお金が役員貸付や他社に流れているとみなされる状況はあまりよくないです。
もしそういった項目があるのであれば解消できないか、原因なども含めて税理士と打ち合わせをして対応することを考えてみてください。
まとめ
金融機関から融資を受けるとこうした「ちょっとしたことだけど気にかけておきたいこと」が増えますが、あくまでお金を借りている立場ですからそこは丁寧にやっておきたいところです。
資金的な余裕があって全く借り入れが必要ないということならよいですが、今は良くてもいつか借り入れを受ける機会が出てくる可能性があります。
そういった状況は突然来るものですし過去の印象を塗り替えるのはハードルが高く、なおかつ金融機関は借りたいときに満額決済してくれる都合の良い相手ではないです。
むしろ借りたいときに借りれない可能性もあるわけですので、普段の付き合いから丁寧に誠実に対応しておくのが望ましいです。