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相続人ひとりで全部相続の注意点

相続人ひとりで全部相続の注意点

相続人が複数人いる場合でも遺産分割協議で相続人のうちの一人が全部を相続するケースというのがまれにあります。

この場合の注意点について整理しておきます。

目次

相続人ひとりで全部相続のパターン

私が見聞きしてきた中で一番多いのは亡くなった方の配偶者とその子がひとりのケースです。

母親と一人息子もしくは一人娘、というパターンが相続人がひとりで全部相続の場合には多い印象です。

母親が一人で全部相続する場合には配偶者の税額軽減で相続税が結果的に課税されないこともよく目にします。

遺言の場合には遺留分の問題がでてきますが、母親がまだ60代と相続においては若く、これからの見通しも立たないケースだったり揉め事がない場合には遺留分の請求はなく穏やかに相続手続きが終了することもあります。

一方で一人っ子である相続人が全部相続するケースも一定程度みかけますが、こちらのほうが注意点が多いと考えています。

母親自身にも今後の生活があるため生活資金をどこから捻出するかは検討しておきたいところです。

また別の確認しておきたい問題として名義資産がないか、ということは税務調査を見越して確認しておきたいところです。

確認しておきたいこと

母親が全く相続しないケースだとある程度の資産を母親名義で持っているケースがあります。

そのこと自体に問題があるわけではなく、その母親名義の資産の出どころはどこか、ということが税務調査で確認される傾向が強いです。

近年の相続税の税務調査においては名義預金のチェックがほぼ必ずと言っていいほど行われます。

これは資金洗浄などの規制が緩かった時代に金融機関の窓口や担当者から割と気軽に親族名義の預金口座作成を勧奨されていたという名残りも影響していると考えられます。

一定年齢以上のかたでバブル期を経験している方はやはりそういったことを勧められた経験があるようにお見受けします。

いまはマネーロンダリングの関係などから親族であっても他人名義の預金口座を気軽に開設できる状況ではないですし、認知症などがあると本人名義の預金口座の管理も難しい時代です。

そういったことが前提にあるため、亡くなった方の配偶者が専業主婦などの場合は特に、固有財産の出どころ、どこからこの資産が形成されたのかは相続税の税務調査においても確認されますので事前に確認しておいたほうがよいです。

相続人がひとりで全部相続する状態で母親名義の資産が多く、しかも専業主婦ということだと名義預金を疑われる可能性がでてきます。

母親名義の資産が例えばその母親自身の実家からの相続だったり、ご自身が仕事をしてきたことによる資産形成なら説明がしやすいですが、そういうことがなく母親名義の資産が5,000万円と言われると「どこからきたのか」というのは申告書作成時の確認事項としておくのが望ましいでしょう。

可能であれば記録もかねて書面添付の内容に反映しておくのがよいですし、相談の結果名義預金が濃厚に疑われるということであれば当初申告の際に名義預金として計上しておくのも選択肢になり得ます。

相続税申告の際には相続財産がゼロ円だと申告書を出さなくてもよいと言えばそうなのですが、私はゼロ円でも申告書を提出して税務代理権限証書を添付しています。

というのも万が一税務調査になった場合に税務代理権限証書を提出していない相続人がいると対応が煩雑になるからです。(税務代理権限証書を提出していない相続人については情報が提供されない)

そういったことも含めて特に母親が相続しない場合には特に名義預金等の確認は事前にしておくのがよいでしょう。

まとめ

相続人がひとりで全部の財産を相続する際の注意点などをお伝えしました。

相続税の税務調査は事前に親族名義の預金口座などをチェックしてきているケースが多いです。ひとりで全部相続に限らずですがより注意が必要になることもあります。

そのため名義預金の確認を集中的に行われることが多いので特に注意して対応しておくのがよいでしょうし、相続人の方にも説明を十分に行っておくのが望ましいです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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