中小企業の経営者にとって、会社の資産は自分のもののように感じるかもしれません。その会社の株主=オーナーであればなおさらそう感じると思います。
ただし会社のお金を出して購入した資産に関しては、会社が所有者になっていますので、それを役員がプライベートで使うことは避けた方が良いです。
特に税務調査の場面において、会社の資産を経営者やその親族がプライベートのために使っていると役員賞与として認定される可能性がありますので注意が必要です。
会社の資産を役員に払い出すときの注意点について整理しておきます。
会社の資産を役員に払い出すときの時価
例えば以下のような事例を考えてみましょう。
会社で使っている車が減価償却が終わり1円の簿価になったとします。
簿価1円ですので、会社にとっては固定資産としての価値は無い状態です。
この車を会社役員がプライベートで使っているとなると、状況としては先ほどお伝えしたようにあまり良くない状況です。会社の資産を使い込んでいるというふうに見えます。
そのため会社名義の車を役員個人に払い出ししようと考えたとします。
簿価1円のものなので1円で動かしたくなりますが、この時に問題になるのは時価です。
その車を役員個人に売るとなったときに、第三者に対して売るのと変わらない価格を想定しておくのが安全です。
例えば、車の買い替えのときには下取りをすると思うのですが、この下取りの価格と言うのは要はその車を売ったお金という意味です。
ディーラーや自動車販売会社で見積もりを取っておくのが望ましいです。要は時価の把握として見積もりをしておくわけですね。
その見積もりの価額は車を売却したときの価額になるわけですから、その価額で役員個人に買い取ってもらうのが安全な処理です。
またガソリン代もそうですし、よく抜けているのは保険関係です。
保険も役員の親族のプライベート利用であれば切り替えておいた方が良いです。意外と抜けている部分かと思いますのでチェックしておきましょう。
役員賞与と認定されてしまうと、何が問題か
中小企業の税務調査において、よくチェックされる項目の1つが役員関係の取引です。
会社と役員の貸し付けや借り入れもそうですし、役員に対する資産の譲渡、役員との業務委託契約など、こういった役員絡みの取引は税務署側から見るとチェックポイントに上がってきます。
というのも、中小企業の多くが役員=オーナーであり株主であるため、利益調整をしようと思えばいくらでもできてしまうからです。
特に役員報酬に関しては法人税法上のルールが厳しく取り扱われていますので注意が必要です。
前段でお伝えしたように、会社の資産をプライベートで使っていると、役員賞与と認定される可能性があります。
もし仮に役員賞与と認定されてしまうとどういった不都合があるかというと役員個人の所得は増えますので、それに伴う所得税等の負担が増加します。
また会社側にとっては損金算入(つまり経費に)できる役員賞与ではないと考えられるため、税金計算上は損金にならず法人税が増える見込みです。
まとめ
こうしたことを考えると役員とのやりとり役員と会社とのやりとりはなおさら気をつけて行った方が良いです。
意外と会社の資産を役員に払い出すと言う相談はありますので、時価の問題と役員賞与の認定を避けるために必要な事項を整理しておきましょう。