個人事業主の方で作家業やゲームクリエイターの方が私の事務所には多くいらっしゃいます。商業や同人の区別、平均課税の対象となる変動所得について整理しておきます。
商業と同人の区別
商業と同人の区別が私も作家業の方のサポートをした時にはよくわかっていませんでした。
大まかな区別としてお客様に教えていただいたのですが、商業は出版社との取引を指し、同人はそれ以外という区別でよいとのことです。
週刊誌や月刊誌といったいわゆる書店に並んでいる書籍は出版社が作家から原稿などの提供を受けてそれを印刷して流通させています。
作家にとって取引先が出版社であれば商業で、それ以外は同人として良いとのことでした。
出版社が取引相手の場合にはいわゆる編集担当者が付くことが圧倒的に多く、作品作りのサポートを受けることができます。
内容についてのアドバイスなども含めて編集担当者と二人三脚で作品を作っていくという感覚の方もいるそうです。
編集担当者との関係性が良くないというケースもあるようですがそこは人間同士のやりとりなので相性もあるでしょうし、そういうこともあるだろうなと想像できます。
同人の場合は編集担当がつかず自分ですべてをコントロールする必要があります。
作品をどこで出すのか電子なのか紙なのか、そういった作品をリリースするために必要なことを自分で引き受けることになるそうです。
一部の売れっ子同人作家のかただといわゆるプロ編集担当のかたに業務委託で依頼するケースもあるそうですが、まだまだ自分ひとりでやるという方が多いのかなとお客様のお話を聞いていても感じます。
商業専門の方もいれば同人専門のかたもいますし、同人活動をしつつ商業でも連載を持っているというケースは見かけます。
自分に合う仕事の仕方、作品のリリースの仕方を見つけることが長く続けるためにも必要で、柔軟に考えておいたほうがよさそうです。
原稿料、印税、著作権の使用料
変動所得の対象となる所得の種類として3つ整理しておきます。原稿料、印税、著作権の使用料です。
原稿料は原稿を出版社等に対して提供することで得られる対価です。出版社が相手と考えるとわかりやすいでしょう。
出版社側ではその原稿を元に紙の書籍や電子書籍を作成してリリースします。
印税は印刷部数、発行部数にたいするインセンティブです。
何部印刷されたのでいくら、という計算方法になるのでこちらも出版社が取引先と考えるとわかりやすいでしょう。
著作権の使用料は、著作権を貸し付けることで得られる対価です。
例えば同人作家や同人ゲームクリエイターのかたが制作した作品をFANZAやDLsiteでリリースしたとします。
これらのプラットフォームはあくまで出版をしているわけではなく貸し付けられた著作権をユーザーにダウンロード提供することで対価を得て、作家側に使用料として支払っていると考えられます。
DLsiteのサークル向けの説明がとてもわかりやすいです。
”なお、当サイトでの売上に関しましては、区分といたしましては「著作権使用料」に該当いたします。
著作権使用料はダウンロード販売という性質上、サークル様の作品に関するサークル様の有する著作権に対して、DLsiteが販売の際に公衆送信権、複製権等を使用したことに関する物としての使用料となります。”
これらに共通するのが出版社やプラットフォームでのダウンロード販売が源泉徴収の対象になっているということです。
ある意味で源泉徴収されていることが変動所得に該当するかの目安のひとつになるでしょう。
まとめ
商業か同人か、原稿料・印税・著作権の使用料について整理をしてみました。確定申告の際には平均課税が適用できるかどうかで所得税が大きく変わります。
適用漏れがないように改めてご自身の所得がどれかに該当するか確認しておきましょう。