名義預金について相続税申告の際には注意が必要ですが、同じく注意が必要なものとして名義保険とされる保険契約です。
名義保険とはなにか、どういうものをいうのか、確認方法など整理しておきます。
名義保険とは
名義保険とはざっくりお伝えすると名義が異なる保険を言います。
通常は保険契約者と保険料の支払者は同じですが、それが異なる場合には名義保険とされることが多いです。
保険契約には登場人物が複数いますのでここでまず整理しておきます。
- 保険契約者=保険を契約したひと、基本的の保険料の支払いをするひと
- 保険受取人=保険の支払い事由が発生したときに保険金を受け取るひと
- 被保険者=保険がかかっているひと
この3つの登場人物がいるため少しややこしくなります。
入院した場合の保険の支払いを例にしてみましょう。
保険契約者であり保険料を支払っている父が入院して手術を受けました。給付内容に該当したため保険金の請求をします。
被保険者は自分で、保険金の受取人は同じく本人であれば3つの登場人物すべてが同じ人になります。一人三役とも言えますね。
これが入り組んでくるとややこしさの原因になります。
死亡保険金だと以下のような契約関係になっていることもあります。
- 保険契約者=保険料の支払者=父
- 保険の受取人=母
- 被保険者=父
この場合は被保険者である父が亡くなると相続税の課税対象財産(みなし相続財産)となります。
一方で以下のような保険契約だとどうでしょうか。
- 保険契約者=保険料の支払者=父
- 保険の受取人=母
- 被保険者=母
この場合、父が亡くなっても被保険者ではないため保険金の請求はできません。ただし、保険料を保険会社に預けているのは父ですので、保険契約に関する権利という内容で相続財産に該当します。
続いて以下のような保険の内容だとどうでしょうか。
- 保険契約者=子
- 保険料の支払者=父
- 保険の受取人=子
- 被保険者=子
一見すると子が契約者ですので保険料を支払っているかと思いきや、よくよく確認すると父の預金口座から保険料の支払いがあったというケースが想定されます。
亡くなったのが父だと保険契約上は被保険者が亡くなっていませんので保険金の請求はできません。保険料支払い者が父であるかどうかを子が把握していない、もっと言うと保険契約があることすら知らないということもあり得ます。
こういった場合に注意が必要なのは保険料を支払ったのは誰か、という点です。相続財産の把握で最も大事なのは資産の原資がどこか、誰が払っているかです。
保険契約の確認方法
保険契約の存在を確認することからはじめましょう。
まずは保険に関する郵送物がないか、保険証券が残されていないかの確認です。保険契約がある場合には定期的に郵送物があることが多く、そこから保険会社に問い合わせてみることが一番シンプルかつ確認しやすいです。
書類のチェックをまずしてみることと、続いてやっておいてもよいかなというのが、預金口座の支払い内容の確認です。
保険料を支払っているのであれば預金口座からその履歴がわかるケースがあります。
大口の支払いで思い当たることがなければどういった内容でどこに支払っているのかは相続財産の把握漏れの際にも重要です。(贈与なのか何かモノになっているのかという視点でも)
亡くなった方の預金口座から保険料の支払い履歴がないか確認してみましょう。
最終的にやはりよくわからない、けど把握できているか自信がないという場合に検討して居t抱きたいのが生命保険契約照会制度の活用です。
一般社団法人生命保険協会が行っているサービスで、保険契約の存在を確認することが可能です。
亡くなった方と相続人の方の名義の保険契約について一度照会をかけておくのも有効です。
まとめ
存在を知らなかった保険契約が出てくることはまれではありますが、相続税の申告上は財産の把握漏れ、計上漏れがないことがやはり重要になってきます。
照会で把握できる保険会社はかなり多いので自信がなければやっておくと安心です。