相続財産の遺産分けで死亡保険金を分けているケースがありますが贈与に該当するので注意が必要です。死亡保険金の相続税計算上の取り扱いで勘違いが起きやすい部分を整理しておきます。
受取人の財産としての取り扱い
死亡保険金は受け取った人の固有の財産という取り扱いに民法上はなっています。そのため相続財産ではないというのが分け方を考えるときのベースです。
税金計算上はみなし相続財産として相続税の課税対象の財産です。(法定相続人ひとりにつき500万円の非課税枠があります)
ときどき遺産分割協議書に死亡保険金を分けるみたいな記載があるのですが、これは贈与として税務上取り扱われてしまいます。
相続人からほかの相続人への贈与、ということです。
代償分割として死亡保険金を原資にするのと混同している方がいるので注意しましょう。
あくまで相続人の財産なので死亡保険金そのものを分ける、譲り渡すと贈与とされます。
似た内容で一度成立した遺産分割をやり直した場合、こちらも相続人に帰属した財産を分けなおしているため贈与と取り扱われます。
相続人以外が死亡保険金を受け取ったら
死亡保険金を使って非課税枠を有効活用しましょうというのは相続税対策で今でもよく見かける対策のひとつです。
ただし、相続人以外の人が受取人になっていると相続税の課税対象になりえますのでこちらも注意が必要です。
よく見かけるのが保険代理店や保険の営業担当から「お孫さんに死亡保険金を遺しませんか?」という提案があって孫を受取人にしているケースです。
この場合、孫が代襲相続人ではないと死亡保険金を遺贈されたものとして取り扱い、相続税の課税対象になります。
相続人ではない孫が死亡保険金を受け取ると、その孫は相続人ではないことから死亡保険金の非課税の対象外となります。
さらに、孫の立場のため2割加算の対象になること、加えて生前贈与加算の対象になりうることなど影響がかなり大きいです。
死亡保険金なので非課税のつもりだったものが、相続税の課税対象となり、2割加算と生前贈与加算の対象にもなってトリプルパンチになりかねません。
税務上の取り扱いは亡くなってからのほうが影響が大きいので事前に確認しておくことをおすすめします。
場合によっては受取人の変更や遺言の内容でも変更できますし、死亡保険金ではなく生前贈与だけで対応することも選択肢になってきます。
まとめ
かからないと思っていた相続税が課税される、贈与税が課税されるというのは想像以上にダメージが大きいので、なるべく事前にシミュレーションすることで回避できることであれば回避しましょう。
特に保険関係は販売するひと(保険代理店や保険の営業担当者)と税務を取り扱うひと(税理士)が異なるので税金のことに関わることは特に注意が必要です。