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遺留分侵害のある遺言があったときの相続税申告対応

遺留分侵害のある遺言があったときの相続税申告対応

相続の場面では遺留分というのが問題になることがあります。相続人それぞれに少なくとも認められた部分と考えてもらえるとよいです。

遺産分割協議の場面では納得できなければ協議書に押印署名しなければいいだけですが、遺言の場合には遺留分が侵害されている(本来もらえる分より少ないという意味です)ケースもあり対応が必要になります。

遺留分の侵害があった時の相続税申告対応について整理しておきます。

目次

遺留分を侵害されている場合

相続人が複数いて遺留分が認められている相続人の場合に遺留分の問題がでてきます。兄弟姉妹(甥姪)の相続人の場合は遺留分がありませんので注意してください。

相続人がひとりの場合にも遺留分の話はでてこず、全部ひとりで相続することになります。

相続人が複数で遺留分が侵害されているわけですから、侵害している相続人と侵害されている相続人がでてくるわけです。

遺留分を侵害されている相続人の側からみていきます。

遺留分の侵害がある遺言があることがわかれば遺留分侵害額請求を行うことになります。

遺留を請求します、ということを相手方に通知するわけですね。

この場合、全く相続する分がない遺言の場合には相続財産がない状態で、一部相続の場合には相続財産にプラスして遺留分を請求します。

遺留分の請求を行った際には話し合いでまとまらなければ、家庭裁判所での調停やそこでもまとまらなければ裁判に移行します。

つまりとても時間がかかるわけです。

それでも相続税申告は機嫌を待ってはくれませんので、相続財産が一部あって遺留分として足りない分を請求する場合にはその一部の相続財産の内容で申告を期限までに申告します。

相続財産が全くない場合には申告すべき相続財産が未確定で不明のため申告しません、というよりも申告できません。

遺留分として取得できる財産が確定したときに改めて相続税申告をすることができます。

この場合は当初の申告期限を過ぎていることが多いのですが、相続の場面ではこういったことは起こり得るので、裁判などやむを得ない理由がある場合には遅れて申告(期限後申告といいます)しても延滞税等が免除されます。

この時の申告期限は遺留分確定時から4カ月以内で、納付期限は申告したときですので注意が必要です。

遺留分を侵害している場合

遺留分を侵害している相続人もいるわけですのでそちらの対応も確認しておきます。

遺言があって遺留分を侵害していたとしても遺言の内容自体は否定されるわけではないのでそれに基づいて申告をすることになります。

この場合も遺留分については未確定のことが申告期限においては多いと考えられますので、遺言通りの財産取得内容での相続税申告です。

この場合も申告期限は亡くなってから10カ月以内(正確には相続の開始があったとことを知った日の翌日から10カ月以内)ですので注意しましょう。納付がある場合もその申告期限が納付期限です。

小規模宅地の特例など相続税申告上の特例についても適用して申告を行います。

ちなみに、遺留分を侵害されている相続人が金銭に代えて不動産を遺留分として取得した場合にはその取得した不動産に小規模宅地の特例は適用できません。

遺留分は金銭で支払うというルール変更があったためで、この場合は相続で取得したのではなく譲渡されたものとして取り扱うためです。

遺留分として不動産でまかなった側の相続人は所得税の確定申告が必要になる可能性が高いのでこちらについても注意が必要です。

遺留分が確定した際には遺留分を侵害している相続人は取得する相続財産が減少すると考えられるため、更正の請求という申告を行うことができます。

こちらも遺留分確定から4カ月以内ですので注意しましょう。

まとめ

遺留分についての相続税申告についてお伝えしましたが、当初申告はほかの一般的な相続税申告と変わりなく対応し、遺留分が確定したときに申告をするかどうかも含めて(相続税実務上は財産の増減がない場合には相続税のトータルは変わらないので当事者どうして精算することがあります)注意が必要なことが多いです。

遺留分のはなしは普段の相続とはまた違った対応が出てきますので一つずつ確認しながら進めていきましょう。弁護士に対応を依頼することも忘れずに検討してください。



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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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