相続税申告の場面では遺言がある相続のときと、遺言がない相続のときでアドバイスすることが変わってきます。
また親族関係から遺言があったほうがよかったかもな、と思うことはあるので、どういう方が遺言があったほうがいいと考えているかお伝えします。
遺言があったほうがいいかどうか
ご家族との関係が希薄ではない、揉め事は起きそうにないという場合には相続人に任せるという選択肢でもよいでしょう。
一方で家族関係が希薄、親族が少ない、交流がない、という場合には遺言があったほうがいいケースも多いです。
兄弟姉妹の相続関係といって、亡くなった人に配偶者と子がおらず、すでに親世代もなくなっている場合には亡くなったご本人の兄弟姉妹が相続人になります。
こういったケースだと兄弟姉妹との関係がかなり希薄なケースがあり交流もほとんどない、ということが起きがちです。
もちろん仲のいい兄弟姉妹もいるでしょうし、甥姪との関係も良好ということもあるでしょう。
そういった場合は良いとして、自分の後のことを託せる親族がどうもいなさそう、という場合には遺言で自分の財産の処分や活用について指定しておくのが望ましいです。
ご本人の財産ですし好きにできますし好きにしてよいのです。気兼ねする必要もないのではと個人的には考えています。
逆に財産を遺してあげたい人や組織などがあれば遺言を書いておいたほうが実現の可能性は高いです。
遺言がない場合、相続人全員で誰がどの財産をいくら相続するか、ということを話し合いで決めなければいけません。
そういうことでご自身の財産を分けられるよりも希望にかなった分け方にすることを選択して遺言を遺す方は多いです。
お世話になった病院や介護施設、友人知人にというケースもあります。
あとは揉め事がおきそうという場合には書いておくのが相続人にとっては安心材料にはなります。
話し合いがまとまらない場合には相続人負担で裁判や弁護士費用が掛かるケース、実際の遺産分けまで相当に時間を要するケースがあるからです。
誰のための遺言か
こうしてみてみると親族関係が希薄で頼れる人がいそうにない、自分の好きなように財産を活用してほしいというケースだとご自分のために遺言を活用すると言えます。
私が見てきたなかでは公益財団法人や宗教関係でお世話になったところ、市立病院などの場合には市区町村宛だったり、いろんな使われ方を見てきました。
不動産がある場合などは受け入れ側で制限がかかったり税金関係の検討事項などが増えますので事前にご相談いただくのがよいでしょう。
友人や知人などを財産の受取人に指定した遺言も見かけます。
ご自身のための遺言の場合は兄弟姉妹、甥姪が相続人になっているケースが多く、遺留分の配慮がなくてよい、というのも遺言作成時のメリット、ハードルの低さにつながっているように感じます。
遺留分を侵害する内容の遺言だとやはり後々気をもむことも出てくるからです。
揉め事がおきそうという場合の遺言は相続人のための遺言と言えるでしょう。
揉め事が起きてしまうと遺言がない場合にはかなりの長期間財産が塩漬けになる、費用も掛かる、なにより親族関係の修復が不可能になります。
遺言がある場合には亡くなった方の意思がそこに反映されており、最優先となりますので、遺留分などの請求を除いて遺言の内容が実現されます。
揉め事が起こる余地がとても少なくなると言えますので、そういう意味では相続人のための遺言といっても差支えがないかなと。
まとめ
遺言があったほうがいいかもというケースについてお伝えしました。ご自身のためでもあり、相続人のためでもある、という両方の側面はあるでしょう。
もし遺言を検討の場合で相続税の申告が必要そうであれば税務面からのチェックを受けておくとより安心です。