漫画家・同人作家の方が外注アシスタントに業務を依頼するケースがあります。背景とかいろいろと業務として発注することがあるそうです。
外注費に関する源泉所得税について整理しておきます。
2段階判定をベースにする
デザインや絵の外注だから源泉徴収が必要、というのは認識としては合っているのですが発注側の作家の視点が抜けています。
例えば法人が外注でデザイン業務等を依頼した場合には源泉徴収が必要なのですが、これはデザイン業務であることと同時に法人が源泉徴収義務者だからです。
業務の内容で源泉徴収をするかしないかの判定の前段階で、発注側の作家が源泉徴収義務者かどうかの判定が必要になります。
つまり2段階判定なわけです。
①源泉徴収義務者である
→②発注する業務がデザイン業務等の源泉徴収対象の業務である
このときはじめて発注する作家側で源泉所得税を天引きして外注アシスタント等に支払う、という処理になります。
発注した作家側では天引きして預かった形の源泉所得税を税務署に一定期間ごとに外注アシスタントの代わりに納税をします。
仮に10万円の外注費で源泉徴収の対象業務の場合は以下の処理です。
100,000円を外注費として計上
100,000円×10.21%=10,210円(源泉所得税)
100,000円-10,210円=89,790円(外注費として実際の支払い)
10,210円を税務署に源泉所得税として支払い
売上として100,000円を計上
源泉所得税として10,210円を計上
確定申告時に源泉所得税金額として10,210円を記載計上して精算
源泉所得税そのものは外注アシスタントからみると前払いの所得税です。これを確定申告のときに実際の年間所得税と精算することを忘れないようにしましょう。
源泉徴収義務者かどうか
源泉徴収義務者かどうかを判定しておく必要がありますのでその点を確認しておきましょう。
源泉徴収義務者とは源泉徴収をする義務がある事業者のことを指します。具体的には以下の要件を満たしている事業者です。
源泉徴収義務者となる者は、会社や個人だけではありません。
給与などの支払をする学校や官公庁、人格のない社団・財団なども源泉徴収義務者になります。
ただし、常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与を支払っている個人は、その支払う給与や退職金について源泉徴収をする必要はありません。
また、給与所得について源泉徴収義務を有する個人以外の個人が支払う弁護士報酬などの報酬・料金については、源泉徴収をする必要はありません(例えば、給与所得者が確定申告などをするために税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません。)。
ざっくりとですが事業者として給与の支払いをしている場合には源泉徴収義務者になります。
給与そのものが源泉徴収をすべき支出なので給与支払いがある=源泉所得税を徴収する必要がある事業者となるわけです。
ですので、漫画家・同人作家のかたでも事業でやっているかたで給与の支払いがない場合には源泉徴収義務者ではありません。第一段階の判定で源泉徴収義務者ではない、つまり外注アシスタントへの支払いは源泉徴収の必要がないとなります。
まとめ
外注アシスタントに業務委託をする作家側の視点で主に書いてみました。まずは源泉徴収義務者かどうかがスタートです。ご自身が源泉徴収義務者かどうかと、原稿料や著作権の使用料から源泉徴収されるのは立場の違う話なので混同しないように注意しましょう。