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その出張旅費日当は本当に大丈夫?

その出張旅費日当は本当に大丈夫?

出張旅費日当で節税しよう、自由に使えるお金を手に入れよう、みたいな話がYouTube動画でもみかけることがあります。

出張旅費日当は所得が増える魔法の杖のように感じるかもしれませんが決してそうではないでその点を今回はお伝えしておきます。

目次

出張旅費日当とは

仕事をするうえで出張することはあるでしょう。

法人の従業員や役員でも遠方での対応などで出張する際に日当を支払うケースはあってそれ自体は問題はないです。

就業規則等も整備しておくのが望ましく、出張旅費日当が支給される条件なども決めて周知しておくのがよいです。

ときどき近場、出張とは言えないであろう距離に対して支給しているケースやプライベートの側面が強い外出に対して設定してもOKみたいな動画をみかけますが全くそんなことはありません。全然OKじゃないです。

きちんと説明できることはやはり大切で、社会通念上においても出張だろう、と言える範囲に支給条件を設定しておきましょう。

仮に役員に対する出張旅費日程が税務調査で否認されると役員賞与等として課税対象になる可能性があります。

この場合は源泉所得税の納付や法人税計算上の経費にならず法人税等が増える、ということも想定されます。

金額が高額だと影響はかなり大きくなりますので、出張旅費日当を設定する場合には必ず税理士にも相談のうえで行うようにしましょう。

ではそもそも出張旅費日当はなにかというところも押さえておきます、そのほうが制度運用上もよいです。

現地経費の概算払いとしての性格

出張旅費日当を支給するのは現地経費の概算払いの性質があるとされています。

例えば東京に出張に行くと、現地での支払いが発生するはずです。それらについて現地での細かい経費支出を全部把握して計上するのは手間だろうから、概算経費的に現地での支払いを処理してもよい、という意味合いがあります。

つまり、現地で払った経費関係については精算しないで出張旅費日当の範囲でまかないましょう、ということです。

出張旅費日当を支払っているのに現地の経費を精算していたら二重取りになってしまいます。

所得税基本通達の旅費日当で非課税になる範囲は以下のように規定があります。

(非課税とされる旅費の範囲)

9-3 法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。

(2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

(非課税とされる旅費の範囲を超えるものの所得区分)

9-4 法第9条第1項第4号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な支出に充てるものとして支給される金品の額が、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲の金額を超える場合には、その超える部分の金額は、その超える部分の金額を生じた旅行の区分に応じ、それぞれ次に掲げる所得の収入金額又は総収入金額に算入する。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平22課個2-16、課法9-1、課審4-30、令4課個2-13、課法12-16、課審5-9改正)

(1) 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するためにした旅行 給与所得

(2) 給与所得を有する者が転任に伴う転居のためにした旅行 給与所得

(3) 就職をした者がその就職に伴う転居のためにした旅行 雑所得

(4) 退職をした者がその退職に伴う転居のためにした旅行 退職所得

(5) 死亡による退職をした者の遺族がその死亡による退職に伴う転居のためにした旅行 退職所得(法第9条第1項第17号の規定により非課税とされる。)

いずれも(国税庁ホームページより)

9-3の規定は旅費日当として非課税の枠組みを決めている内容で、総合的に勘案する事情について記載があります。

ようはこういう範囲での支給なら総合的に考えて非課税として取り扱います、ということです。支給している金額が適切なバランスの基準であり、なおかつ、同業種や同規模の事業者と比べて相当と認められるかどうか、という点が重要です。

また、9-4の規定は旅費日当の金額>通常必要な金額の場合にはその超えている部分は給与所得などとして課税の対象とするという内容です。

まとめ

時折、日当2万円を支給しても全然OKみたいな話を動画やネットで見かけますが本当に大丈夫か?は改めて確認しておいたほうがよいです。

物価高騰や円安の影響も加味して足が出ないようにはしてあげたいところですし、定期的な見直しをして適切な範囲やバランスになっているかはチェックしておきましょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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